【第401話】 ソードイド戦
大型のスカルゴンを退けた私は先に進む。この階でも多数の魔物が現れた。先ほどの悪魔型の魔物や、トロル型が現れていたがそれぞれの魔物への対処を体に刻み込みながら、退けていく。迷路のような道を進むと、またもや下る階段を見つけたので下りていった。
降りた先には比較的広い通路が伸びていた。一本のまっすぐな道で見通しがよい。しかしそこに一匹の魔物が立ちはだかっていた。骸骨型の魔物で、腕には六本の剣を持っている。最初見たときはピクリとも動かなかったので置物かとも思ったが私を見ると空洞であった髑髏の目に赤い光りが灯った。
ネクロゴンドの洞窟で同じタイプの地獄の騎士と戦ったことがあるがなかなかの腕前で苦戦させられた記憶がある。
剣の腕には自信があるが、剣術で上回っても六本の腕から繰り出される攻撃は接近戦では厄介である。こちらが有利な戦いを仕掛けるため、私は遠距離から王者の剣の魔力を解放しバキクロスを放った。
すると魔物の六本の腕は同時に動き、持っている剣が青白く光る。六本の剣から吹雪が巻き起こり、目の前に氷の障壁が発生した。氷の障壁は空気を遮断し、バキクロスの衝撃により崩れ落ちる。
「な…」
私は驚きの声をあげる。こんな防ぎ方があるとは。今まで王者の剣の魔力を使い、倒せなかったものはいたが確実にダメージは与えていた。しかしこのように無傷で回避されたのは始めてである。
もう一度王者の剣の魔力を解放したり、稲妻の剣によるイオナズンで攻撃をしても同じ結果だろう。
「ならば…」
私は間合いを詰め、接近戦を挑むことにした。魔物も間合いを詰めてくる。
私は王者の剣を繰り出すと、魔物は三本の左手による剣で攻撃を受け止めた。剣が重なり合い激しい金属音が鳴り響く。同時に右手の三本の剣が私に迫り、それを私が勇者の盾で受け止める。
私は電光石火で二撃目の攻撃を放つが、魔物はまたもや力強くこれを受け止めた。剣を引き相手の大勢を崩し、私は続けざま三撃目を放つ。しかし魔物は不自然な体制で剣を受け流して、そのまま体制を整えた。
今度はフェイントを織り交ぜ、右側に軽い突きをするとみせかけて魔物を左に誘導した瞬間左側から弧を描くように斬りつける。しかしバックステップをされ、かわされた。
「やる!!!」
カンダタと決闘したような圧迫感を感じる。
剣という武器は非力な人間を補うために作られた武器であり剣術というのは人間が編み出した戦いの技術である。
しかし魔物の中にこれだけ剣術に長けたものがいるとは。そして王者の剣と打ち合わせても、砕くことができない魔物の剣の強度。剣を打ち合うたびに両方の剣から光が飛び散る。氷の結界を発したことから、魔力剣なのだろう。
まともに王者の剣を魔物がもつ剣に叩き付ければ、砕くことができるのかもしれないが魔物は六本の魔力剣を巧みに使い、王者の剣の力は分散し、受け流す。そして力強い攻撃を繰り出してくる。剣技はほぼ互角だった。
第402話 ソードイト戦2
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