【第404話】

アークマージ戦


強敵だった六本の剣を操る魔物を倒した私。


突然目の前に何かが現れた。

どうやら、人のようだ。

体は小さく、私の三分の二くらいしかない。

目の前の人は全身を赤いローブで顔まですっぽり覆っている。




”よくぞここまで来たな”


「ようやく人間の言葉がわかるのが登場ね。

あなたは敵?味方?

といっても、そんなに殺気を放っているようでは味方ではないようね」


”ふむ、女か。こんな小娘一人にバラモス様がやられて

メルキドでキングヒドラ様が傷つけられたとは信じられなかったが。

このアークマージ様が作ったソードイドを退けるとは思った以上の腕のようだの”

バラモスやキングヒドラに様付けをしていることから、

形は人でも魔物であり、名前はアークマージというようだ。

「作った?

ソードイドって先ほどの骸骨剣士?」

”あれはワタシが作ったものでも最高傑作だった。

元剣士であった二人の人間の剣士の腕をもぎ取り、それを魔界から呼び出した魔物にくっつけたのだよ”

「なんて惨いことを…」


”惨いこと?

そなた達だって、家畜を殺して食べるだろう。

私達魔物にとっては人間は家畜同然。

食べるところは食べ、利用できるものは利用する。

トロルのようなバカ共は人間の肉を食らうのが好きのようだが、

私のようなものはお前達が持つ負の感情、それが食事になるのだ。

人間は我々にとって食料なのだよ”

「………」


話す気さえおきない。

この魔物への怒りを感じる。

しかしそれでは魔物へ対しての憎悪しか起きない。

すべての魔物がそうではないはずだ。はぐりんのように。


「それはあんた達が特別なだけでしょ。

私は今まで魔物と呼ばれたものと心を触れ合わせたけれど

決してそんなことはなかったわ。

心優しいはぐれメタル、悲しみを持つクラーゴン、

世の中はあんたのような魔物ばっかりじゃないわ。

先ほど、人間の負の感情があんた達の食事だなんて言っていたけれど、

私を怒らせてそれを食べようとでもしたのかしら?」

”………”


「図星のようね。そんな手にはひっからないわよ」


もし私がはぐりんと出会わなかったら、怒りに身を任せすぐに戦っていただろう。

冷静さを失い、人間の負の感情を食べる魔物がいるとすれば

何をたくらんでいるかわからないし、その後どうなったかも想像がつかない。


”…なるほど、剣の腕だけでなく頭も切れるようだな”


第405話 アークマージ戦2

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