【第405話】 アークマージ戦2
今までの魔物とは一味違う、アークマージ。アークマージは先ほど戦ったソードイドを作ったと言う。あのような魔物を作り出すことができたというのであればそれなりの力を持っていなければ、魔物を制御できないはずだ。油断できない。
”それにしても、ここに来る人間がいるとは思わなかったがまさか二人もこの城に来られるとはな”
「二人!?」
ということは私以外にこの島に来た人物がいるの?そんなことは初耳だ。しかし虹のしずくを使わないで、どうやって?
「…私より先に来た人間がいるってわけ?」
"ん?ということは、あの男はオマエの仲間ではないのか?私はてっきり、あの男とオマエがこの城に乗り込み二手に分かれたと思っていたが”
どうやら、アークマージの話からすると私以外の人物がこの大魔王の城に乗り込んだとのことだ。その人物が私の仲間であったとアークマージは思っていたらしい。
”まぁ、いい。あの男はキングヒドラ様にとられてしまったからの。私の遊ぶ相手が残り物のおまえというわけだ”
私以外の人間がこの島に来られるとは思っていなかったけれどまさかこの島で同志が戦っているとは。
どのような手段でこの城に入ったかはわからないけれどキングヒドラと一対一では危険だ。普通の武器では傷つけられない。すぐに助けなければ。
”おぉっと待て。おまえの相手は私だと言ったであろう”
そういうと、アークマージは両腕を前に出した。そしてその両腕から巨大な光球が生まれる。
「イオナズン!?」
私は稲妻の剣を素早く抜刀し、イオラの光球を二発放つ。イオナズンを相殺する為だ。王者の剣ではイオナズンの勢いを殺すことができない。同時にアークマージもイオナズンを放っていた。イオナズン同士が当たり、爆風が吹き荒れる。
”素晴らしい…攻撃に対する防御を瞬時に計算し、武器を切り替える判断力、イオラを使い、イオナズンを生み出すその技術。普通の人間を遥かに凌ぐ肉体と動体視力”
突然背後に嫌な雰囲気を感じ、私は横へ飛んだ。そこにはいつのまにか瞬間移動したアークマージが黒い魔法障壁を放っていた。
見たこともない魔法だが、まともに受けたらまずかった。意識的に横に飛んだのではなく、体が自然に動いていたので助かったが頭の中で判断してよけていたら、魔法を受けていた。
”鋭い勘と予測、それを備えるだけの経験。ますます素晴らしい。ソードイドが敗れたわけだ。ただの作り物にここまでの能力は持たせられない。お主の戦闘センスは確かにずば抜けている”
「んなの、褒められても嬉しくない!」
私は王者の剣を振りかざし、魔力を解放した。再度アークマージは消える。突然背後に現れたときといい、空間を渡る術を持っているらしい。瞬間私は頭上に殺気を感じ、バックステップをしてその場から離れた。
本のわずかな差で私がいた場所にアークマージは現れ、闇の小剣を持って床に突き立てていた。手に持っている小剣はどうやら魔法で生み出した剣のようだが、硬い床を抉っている。アークマージは手を一振りすると小剣が消えた。ブルーメタルよりも強度がある魔法の小剣であれば、私の頭は兜ごと真っ二つになっていただろう。冷たい汗が流れる。
”素晴らしい!!素晴らしい!!”
アークマージは狂ったように、笑う。
”人間というのはここまで強くなれるのか!!!戦士としてここまで完成度を誇る戦士に会ったことがない!!!!ククク…であれば、お主と魔物を合成すればどんなものができるのかの…”
第406話 アークマージ戦3
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