【第89話】

恐怖


ほぼ、私と同じ年の2人の巫女。

彼女達の命と引き替えに、伝説の不死鳥ラーミアが誕生した。

しかし・・・・・運命でも・・・・・

・・・・・・・ひどい・・・・・・・


人の死体は見たことがある。

だが、人の死を目の前にしたのは初めてのことだった。


”その役目が終われば、この世からなくなる運命”


そもそも”運命”ってなんだろう?


”わ、私は、まだ死にたくない!”


”い、いやぁ!!!”


彼女たちの半狂乱の声が今でも耳に残っている・・・・・・

涙が止まらない。

彼女たちへの同情?

それとも、死への恐怖?


”死”ってなんだろう?


きっと、架空の物語なら、

そのまま”運命”と定められた者は、

それを”運命”と認めて、消えていくのかもしれない。


でも、彼女たちは人間だ。

架空の人物ではない。


人間が死ぬ直前の恐怖・・・・・・・・

もし、自分があの立場だったら、どうなっていたのだろう?


”死”


深く考えたことはなかった。

よく、死後の世界がある・・・・・

霊の世界がある・・・・・

そんな話を聞く。

偉そうに語る人がいる。

でも、実際は死んだ後の世界は死んだ者にしか、わからないと思う。


その人達は”死”に関して、深く考えたことがあるのだろうか?


もし、自分が死ぬことを想像するとすごく、不安になる。

自分が死んでしまっても、世の中は整然と流れていく。

だが、自分は二度とこの世の中の出来事にふれることができないのだ。


そして・・・・・それは・・・・・・・

生き物で有れば、”必ず”、起こること。

私が考えていることは、あまりに当たり前なこと・・・・・・

でも、現実に自分が必ず死ぬという事を考えると・・・・・・

だめだ・・・・・・・

怖い・・・・・・・・

これから、バラモスと闘うのが、とても怖い・・・・・・

嫌・・・・・・

わ、私も、まだ、死にたくない・・・・・・・・


第90話 生きる意味と幸せ

前ページ:第88話 「生きる者、消えゆく者」に戻ります

目次に戻ります

ドラゴンクエスト 小説 パステル・ミディリンのTopに戻ります