八月二十四日

思ったより早く修道院に着いた。たった十日弱しか経っていないのに、すごく久 しぶりな気がする。

あの塔は神の塔というらしい。門を開けるためにマリアさんがついてきてくれる こととなった。彼女の仕度のためと、晩餐のために今夜はここに泊まる。

ヘンリーと向かって話す機会があったので心境を聞いてみたが、意外にしっかり している。太后君のこともそんなに気にしていないようだ。虚勢でなく、本当に成長したように感じられる。

マリアさんがいるので明日はキャンプを張らずに済むようにしたい。道順の再設 定は十分話し合ったつもりだけど、丘、砂漠、森と続くので馬車を飛ばすのには 不適当だ。
帰りは旅の扉からラインハットに戻ることで納得してくれているので、神の塔で の用事をいかに早く済ませられるかにかかっている。

八月二十五日

無事ラーの鏡を手に入れたが、夜になったので旅の扉が封鎖されている。やむを 得ずキャンプを張ることにした。

神の塔は美しかった。中庭には花が咲き乱れ、均整の取れた造りの建物だったが、 残念なことに魔物が住み着いていた。予想していなかったので戦闘に時間を取ら れ、しかもマリアさんを守ろうとしてヘンリーが傷を負った。傷そのものはすぐ 呪文で回復させたけれども、痛恨の一撃の恐怖が残っているらしい。顔が青い。
今日は大事をとって見張りを全部引き受けようかといったが、プライドなのか、 さすがにそれは断った。

八月二十六日

案の定、太后は偽者だったが、実体が魔物だったとは予想していなかった。その まま戦闘になって、部屋の中で刃物を振り回すわ呪文が飛び交うわ、王室の関係 者は右往左往してもう大変な事態になってしまった。それからも、デール王が傭 兵を掌握していなかったり、市民のあいだに不穏な動きがあったりと、大変な一 日だった。
僕はともかく、ヘンリーはデール王や大臣に引っ張りまわされて本当に大変だっ たろう。


まあ、何とか一日でおさまったからいいようなものだ。とにかく、今日は疲れた。


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