あの塔は神の塔というらしい。門を開けるためにマリアさんがついてきてくれる こととなった。彼女の仕度のためと、晩餐のために今夜はここに泊まる。
ヘンリーと向かって話す機会があったので心境を聞いてみたが、意外にしっかり している。太后君のこともそんなに気にしていないようだ。虚勢でなく、本当に成長したように感じられる。
マリアさんがいるので明日はキャンプを張らずに済むようにしたい。道順の再設
定は十分話し合ったつもりだけど、丘、砂漠、森と続くので馬車を飛ばすのには
不適当だ。
帰りは旅の扉からラインハットに戻ることで納得してくれているので、神の塔で
の用事をいかに早く済ませられるかにかかっている。
神の塔は美しかった。中庭には花が咲き乱れ、均整の取れた造りの建物だったが、
残念なことに魔物が住み着いていた。予想していなかったので戦闘に時間を取ら
れ、しかもマリアさんを守ろうとしてヘンリーが傷を負った。傷そのものはすぐ
呪文で回復させたけれども、痛恨の一撃の恐怖が残っているらしい。顔が青い。
今日は大事をとって見張りを全部引き受けようかといったが、プライドなのか、
さすがにそれは断った。
まあ、何とか一日でおさまったからいいようなものだ。とにかく、今日は疲れた。