八月二十八日

無事船に乗った。二等船室だが、魔物お断りといわれたのを無理に入れてもらっ た。ピエールが船に乗るのは初めてで、恐がっていたけれどどうにか落ち着いた。 船長が、「スライムナイトだからいいけれど、イエティとかビッグアイだったら 暴れて船がひっくり返っていたかもな」なんて言う。ご迷惑かけます。

これから行くポートセルミは、かつては有数の港町だったらしい。今でも船乗り たちが集まる、情報の中心地だとか。そこに行けばなにか手がかりがつかめるか もしれない。
これからおよそ二週間の旅。楽しみだ。





 
九月三日

のんびり他の乗客たちとゲームをして過ごしている。一度ピエールも参加させよ うとしたけれど、さすがにルールが覚えきれなかった。いつかもう一度挑戦して みたい。

順調な航海だと船乗りも退屈になるらしい。いろいろ話をしてくれる。 

九月九日

船では必需品の塩が切れてしまったようだ。船長が怒る声が聞こえる。船員か港 側のミスだ。でも順調に行けばあと二日。多分大丈夫だろう。それより、船長の 怒った顔が意外に恐かった。

こんなに何事も無い平和な日々が続くのは、考えたらはじめてじゃないだろうか。 本当に幸せだと感じる。
父さんとの最後の船旅を思い返すまでは。

 


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