十月八日

船で水路を北上する。このあたりは地形が複雑で、そんなにスピードを出せない が、陸を行くよりはだいぶ早い。船員に聞くと、明日の昼前には水門に着くらし い。ただ、水門は山奥の村が管理していて、その交渉はお願いしますとのこと。
十月十日

昨日は思いがけないことだらけだった。ダンカンさんとビアンカがいた!あんま り突然のことなので、はじめは声も出なかったけれど、すぐに懐かしさでいっぱ いになって、一晩中話し込んでしまった。

ビアンカはすっかり大人びた雰囲気になって、美人に成長していた。
けれど性格はあまり変わっていない、昔のビアンカのままだった。冒険が好きでお姉さんぶっていて、僕らの旅についてくると言い出した。
結局僕の方も折れて、それを受け入れることにしたが、相変わらずずいぶんと強 引だなあ。


船は水門をぬけて今ちょうど内海に入った。けれど水のリングの手がかりはつか めてない。
ルドマンさんの、「水に囲まれたところにあるのかも知れんな」というのが唯一 と言っていい。

十月十一日

海は広い!
十月十二日

このまま内海をまわってみても成果はなさそうなので話し合う。
船員の「北に川があるから、それをさかのぼってみたら」という意見に賛成し、 河口へ向かう。地図と比べてみたが、ルラフェン西の、あの大きな湖のあたりら しい。可能性があるかもしれない。ぼんやり海を見張らなくてもよくなって、少 しみんなの士気が回復した。


ビアンカは今日まで横にいるのがチロルだとは気がつかなかったようだ。リボン を見てびっくりしたような声を上げていた。


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