女王アイシスに謁見した。
はるか東の国グランバニア。そこが父さんの国だという。父さんはグランバニア
王だった。母さんを捜すため王位を捨て、僕をつれて世界を旅していた。
言葉に言い表せない、なんとも言えない気持ちだ。
勇者の墓は天空のかぶとを祭ったものだった。女王さまにかぶってみろといわれ
てかぶってみたものの、見た目よりもずっと重過ぎて使えない。少なくとも僕に
は資格が無いようだ。
ここは勇者のお供をした人たちの子孫が作った国だという。勇者の情報はここに
集まってくるようだけれど、今のところは昔の伝説ばかりで、新しい話はあまり
無い。
しばらくここにとどまって、それからグランバニアに向かおう。
ここは不思議な国だ。女王さまの力で、地下庭園やつきることのない泉がたもた
れている。女王さまは不思議な魔力を持っていて、人の心も読めるらしい。年齢
よりはるかに若く見え、とても妖艶で美しい方だ。ビアンカも圧倒されたようで、
「浮気しちゃ、だめよ」という声が、かすれ声になっていた。