十二月二十四日

船長がグランバニアの情報を聞いてきてくれた。山越えが必要になるらしい。装 備は現地調達になってしまうが、道はそう険しくないようなので、体力的には問 題ないと思う。

グランバニアについていろいろ思いを巡らすけれども、うまく想像できない。ア イシスさまの話が本当なら、僕は赤ん坊のときあそこにいたはずだけれども、さ すがにまだ小さすぎて憶えていない。


この前襲われていた船はやはりこの船だった。思わぬ収穫と思わぬ破損でいった ん引き返すことにしたらしい。まあ、来てくれて安心した。
なかなかすごい戦いだったらしい。話を聞こうとすると、みんなが一斉にしゃべ り出す。誰もが、俺が一番勇敢だったみたいな話し方をするのには参ってしまった。

十二月二十五日

グランバニアについてからの話をいろいろした。ビアンカはおもに暮らしぶりに ついての話ばかりする。意外に家庭的なんだ。
落ち着くのも、悪くないかもしれない。ただ、勇者の手がかりが見つかったとし て、また旅立つ気になれるかどうか、、、。


十二月三十一日

新年祭の準備をする。船の上での新年祭ははじめてだ。本当なら女神の人形を作 るところだけれど、ビアンカが女神役をすることになった。ちょっと得意気だ。
あしたは早い。もう眠ろう。
一月一日

朝日の中女神の扮装をしたビアンカはきれいだった。船乗りの視線が痛い。
航行中なので盛大な宴はなかったけれど、神聖な儀式は印象に残った。
ちょっと豪華になった食事はおいしかった。ピエールもチロルも、それぞれの仕方で新年というものを感じ取ったようだ。

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