一月三十日

一日中、儀式の準備や法典の勉強で忙しかった。まだ国造りについては何の知識 も無い。オジロンさまが補佐してくれるとはいえ、オジロン王もわずか数年の新 米王だ。やはり大臣に頼ることになるなあ。

二人の名前が決まった。国から二人の名前をつけた船を贈ろうという提案がなさ れた。正式な決定はやはり明日になるけれども、ありがたく頂戴する。







二月二日

20年前、この部屋で僕が生まれた。僕を抱えた父さんがこのベッドの横に立って 母さんを見守っていると、その目の前で母さんは不思議な力に包まれて、そのま ま連れ去られていったという。

そして昨日、ビアンカがさらわれてしまった。




子供は無事だったけれども、ビアンカはどこにいったのか分からない。
今、兵士たちが必死で行方を追っている。国民のあいだでは動揺が広がっている。僕がパパス王のように王位を捨てるのではないかと思っているのだ。
とても苦しいが、今は兵士を信じて待つ。


どうもおかしい。祝賀の酒の中に眠り薬を入れられた形跡がある。
大臣の姿が見えないので、部下が困っている。報告をほとんど自分でさばかなくてはならない。忙しさがかえって救いになっている。

二月三日

あの大臣が北の空へ飛び去っていったという報告を受けた。そこで大臣の部屋を 調べさせたところ、もう一組のそらとぶくつが見つかった。やはりあの大臣が犯 人だったに違いない。

国を捨てないでくれという嘆願がくる一方、やむなし、あるいは追いかけるべし という意見もあるようだ。決断を下さなくてはならない。


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