オジロンは摂政となって、国を守ってくれるという。八年も待ったのだから、も
う少し待ちますよ、と言ってくれた。兵士には見せなかったけれども涙が出た。
オジロンはしばらく人払いをしてくれた。
子供たちが、僕についてくるつもりでいる。僕自身同じように父さんと世界を回
っただけに、強く断りきれない。だが、僕は父さんのように強くはない。守り切
れるだろうか。自信が無い。
娘はビアンカによく似ている。幽霊城を旅した時、ビアンカはこんな顔をしてい
ただろうか。ビアンカが今ここにいないだけ、危ないまねをさせたくない、とい
う気持ちがつのる。
だが、息子の方は、、、
目が僕によく似ている、とみんながいう。けれども、情としてあまり肉親という
感じがしない。非人間的なまでに神々しく、武術、呪文共に子供ばなれしている。
黙って立っている時の姿は、まるで何かの芸術作品のようだ。
お父さん、という声を聞き、ようやく現実にかえる。
息子はあの天空の剣を軽々と振り回している。テルパドールのアイシスさまにあ
わせてみなくては。
そのあとは、母さんのふるさとを訪ね、魔界についての手がかりを捜そうと思う。
ビアンカがどこかの家に売られたならばともかく、魔界に関することならば兵士
たちの手には負えないだろう。母さんの不思議な力の謎を解かなくてはならない。
目標が決まると、少しやる気が出てきた。