四月十二日

今日からは船旅だ。テルパドールまでは結構な距離がある。
初日から海が荒れはじめた。平気なのは息子くらいで、他のものはみな気分が悪くなってきた。魔物が襲ってくる気配はないものの、上陸後の砂漠に耐えられるだろうか。
今後海が平静であるよう海神に祈る。



四月二十日

あれからうってかわったように波は静かだ。一日だけ凪いだものの風も順調で、 甲板で訓練の日々が続く。今のところ平和な日々だ。

近くで船が襲われたようだ。積み荷が海面を漂っている。だが船長の話を聞くと 沈んだというわけではないらしい。よく見ると積み荷はたいして価値の無いもの ばかりで、魔物が目を奪われているすきに逃げ切ったようだ。

八年のあいだに魔物の様子も少し変わってきて、強くなったようだ。商船は船団 を組むようにして対抗しているが、単独の漁船が特に危険だという。



四月二十五日

見覚えのある砂漠の大地。ここはまったく変わっていない。記録を頼りに上陸地 点を捜し、船と別れた。

昼の暑さには変わりが無いが、娘が氷の呪文を使えるようになったので、昼間も 一気に駆け抜けられるようになった。一時間ごとに馬を休ませ、第二の泉まで最 短距離で向かうことにする。



五月一日

泉についた。あさってにはテルパドールにつけると思う。
伝説の勇者を語り継いできた国。息子のことをどう思うだろうか。

それにしても昼は暑いが夜はかなり冷える。


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