五月二十六日

ルーラでグランバニアに戻った。ビアンカの手がかりはまったく無い。

オジロンは最近勢力を拡大してきた、光の教団というものの対策に忙しい。たし かに、ビアンカの問題にだけかかりきりというわけにもいくまい。
光の教団と言えばセントベレス山を拠点にしている教団。つまり僕の敵、そして 父さんの仇。しかし、ここはぐっとこらえて、世界のことを考える。

エルヘブンで天空の塔のことを聞いた。いにしえの勇者は天空人だったと言うし、 天空界の方がなにか力になってくれるかもしれない。天空の塔を捜そう。

五月二十七日

以前の記録を読み返していると、僕は一度天空の塔らしいものを見ている。はじ めてテルパドールへ行くときに、雲を突き刺すように建つ塔を見たのだ。
地図からいってもまだ僕としては未踏の地だし、あのセントベレス山もある大陸 だ。早速ここを発とう。
五月二十八日

魔法の絨毯は快適だ。信じられないほどの高速で飛べ、どんな魔物も追いつくこ とが無い。
僕らだけでの洋上飛行は不安が残るし、魔法の絨毯にもまだあまりなれていない が、言っても始まらない。飛びながら絨毯の上で眠っている。

まだ遠すぎて目標は見えないが、旅人の地図で位置は確認できるので心配はして いない。


五月三十日

夕方、夕日に向かって塔が見えた。しかし夜になってもまだつかない。あと数刻 もたてば陸にはつくので、まだ起きている。明日こそ天空の塔に行けると思う。

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