このとき、俺は、今までに感じたことがない恐怖を
二人から感じた。
目が違った。
俺が逃げようとする前に、二人は俺にとびかかる。
服をぬがされ・・・・・・
クラウド、似合うわよ・・・・・
う、うそ・・・やっぱり全然似合わない・・・
ごめん・・ププッ・・」
「やっぱり、クラウドには、女装は無理ね。
どうやっても、無理があるもの」
”無理”って何だ・・・
おまえ達がやったんじゃないか。
だから、俺はイヤだって言ったのに・・・・・
鏡の前で見た自分は、あまりに情けなかった。
ドレスを着た、俺は、あまりにひどかった。
どうみてもばれるだろうという格好だ。
男として大切なものがわらわらと崩れていったような気がした。
あらためて、ドレス姿を着させられた俺は、情けない顔で
ティファとエアリスを見る。
ティファとエアリスは、やっぱり笑っていた。
はぁ・・・・・
「さて、コルネオの前に行く前に練習よ」
「なんの練習だよ!」
やけっぱちに答える。
「だから、その”だよ”っていうのはダメ!
前に言ったじゃない・・・」
エアリスが本気で怒ったように言う。
「・・・・・・・・」
「さぁ、クラウド、復習してみよう」
「・・・・・・・・・」
「・・・・クラウド?」
「はぁ・・・・・・」
観念したかのように俺はため息をついた。
そして、気を入れ替える。
「・・・・・・・コルネオ様、わたくし・・・・・
コルネオ様のことをお慕いもうしていましたの。(はぁと♪)
もう、夜なんて、コルネオ様のことばかり考えているのですもの・・・・・
この切ない気持ちわかって頂けるかしら?
あぁ・・・・・・わたしの愛しいコルネオ様・・・・・(瞳うるうる)」
「そうよ、やればできるじゃない!」
「コルネオ様・・・・・わたしのことは・・・
どう考えていらっしゃるの?(上目遣い)」
「いよ、クラウド!」
「コルネオ様は・・・・どんな人が好みなの?(さらに上目遣い)」
「そう、完璧!」
「うっうぅ・・・・・
ひどいわ・・・・・
こんなにコルネオ様のことをお慕い申しているのに・・・・
わたしじゃダメなんですか・・・・」
「ふられたときの台詞まで考えているとは!」
もう心は完全に乙女だわ。
エアリスの洗脳により、わたしは、コルネオを慕う完全の
乙女となりきった。
そんなとき、
「おい、コルネオ様がお着きだ。
おまえ達、コルネオ様の部屋に来いとのことだ」
ドアの外から、衛兵の声が聞こえてきた。
「ついに、来たわね・・・・」
「クラウド・・・・」
興奮しているエアリスとは別に、
ティファは、複雑そうな顔をしていた。
しかし、目的がはっきりしている以上、
任務が優先だ。
「目的は、コルネオが何をねらっているか
それを知ることよ。
それさえわかればぶちのめしちゃっていいから」
「了解」
ノックをする衛兵。
「コルネオさま、
新たな娘を三人連れてきました」
すると中から声が聞こえてくる。
「ほひ~~。
ついに来たか。
待ちわびたぞ。早く通すのだ!」
「わかりました。
さぁ、早くいけ」
エアリスとティファと俺は、お互いに目をあわせて
こっくりと頷く。
コルネオの部屋の扉が開かれた。