【第19話】
犯人は啓子ちゃんだ
犯人は啓子ちゃんだ。そうとしか考えられない。俊夫さん殺しをできたのは、啓子ちゃんだけだった。つまり自己崩壊しているのも演技だ。ぼくと真理が啓子ちゃんと一緒にいるとき、ニ対一なら啓子ちゃんも手を出せなかったのだろう。一人一人が分裂するのを待って血祭りにあげたのだ。俊夫さんもその犠牲になった。そして、鍵さえ持っていれば可菜子ちゃんや夏美さんも殺すことができる。親友を手にかけるとは、なんと非情なのだ・・・・きっと啓子ちゃんは、いや啓子はぼく達が部屋の外に出た後、真理やぼくを狙っているかもしれない。それに上に残した香山さんやキヨさんが気になる。香山さんもキヨさんもニ階から離れるべきだ。
「小林さん、真理、二人はクルーザーを見てきてください!」
唖然とする二人を残してぼくは二階の階段を掛けあがった。しかし階段をあがりながらぼくは1つの考えが浮かんだ。
みどりさんの件はどうなる?みどりさんが殺されたとき、啓子ちゃんは夜中から少し前まで一緒にいたのだから、みどりさん殺しにはアイバイがある。あらかじめ、みどりさんを殺していたとしても死体に杭を打ちこみ壁に張りつけることは無理だ。では、犯人は啓子ちゃんじゃないのだろうか。
ニ階の階段にあがった瞬間、ぼくの首に細いヒモが絡まった。まるでピアノ線のようだ。
「な、なんだ・・・・」
そのまま首が締め付けられた。く、苦しい・・・・・ぼくは必死にそのヒモをふりほどこうと、首とヒモの間に指をいれはずそうとした。しかし、ヒモは一向に緩まる気配がなく、入れられた指も一緒に締まり、そして・・・・・・
「グワァア!!!!」
ぼくの指は切断された。さらに首がしめつけられる。そしてその激痛のあと、ぼくの意識は遠くなっていった・・・・
<終>
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