【第11話】

互いの夢


大きな仕事が入った。

80000Gもの大金の仕事だった。

仕事の内容はロマリアの国宝金の冠を盗むことだった。

当然リュックはいやがった。

しかし俺は一人でいくということを言うと

リュックは盗みの仕事は今回で最後ということを

条件についてきた。

俺たちはノアニールの町を出た。




「そういえば、城を見るのは今回が初めてだね」


「そうだな。

 そういえばお前は城の宮廷魔導師になりたいって言っていたことあったな」


「よく覚えていたね。

 でもこんな仕事してたら、犯罪者で

 とてもだけれどなれないけれど。

 城でもお尋ね者になるかな?」


リュックは苦笑いをした。


リュックの顔を見ていて、こいつには本当に申し訳ないと思った。

俺のせいでこいつは、それだけの実力があるにもかかわらず

城の魔術師になりたいという小さい頃の夢も

あきらめてしまったのだから。


「すまねえな、いつも貧乏くじひかせてしまって。

 本当に俺に無理に付き合う必要はないんだぜ」


「何言っているんだよ。

 ルーニがいたからボクはここにいるんだ。

 もしボク一人だったら、きっと孤児院暮らしから抜け出せないで

 何をしていたかわからない。

 いつになってもあそこにいたかもしれない。


 でもこんなにたくましく生きられるようになったんだもの。

 ルーニのおかげだよ。

 ボクたちはいつまでも一緒だ」


リュックは笑顔でうなずいた。


・・・・ったく、聴いていてこっちが恥ずかしくなるぜ。

しかしリュックのいいところは本当に素直なことだ。


「本当に今回の仕事があったら今度はノアニールを出ていろいろ旅をして、

 そのうちどこかの城で仕えるのもいいかもしれないな」


そう俺はつぶやいた。


「ルーニは王様になりたかったんだよね」


「おまえこそ、よくそんな昔に言ったこと覚えているなぁ。

 あれは冗談に決まってるじゃねえか」


そんなことを言いながら、俺たちはロマリアを目指した。


「ロマリアまでの長旅も初めてだな。

 途中カサーブで一泊していこう」


「うん」


しばらくそんなことを言い合いながら

俺たちは歩いていた。


夜までにカサーブにつくはずだったが

出発するのが遅かったため、日が落ちる前にカサーブに

つけなかった。


しかも・・・・・・・・・


「やべえなぁ・・・」


「うん・・・・・・」


どうやら、さっきから妙な気配はすると思っていたんだが・・・・


日が暮れると同時に、突然頭上から何かが襲ってきた。

俺とリュックは二手にわかれてそれを避けた。


辺りを見てみると、牙をにたにたしながら唾をたらしている

人間が複数現れた。

しかし人間ではない。

背中には翼がついていた。

リュックもこいつらの気配に気がついていたが、魔物だった。


第12話 魔物の群れ

前ページ:第10話 「破格の仕事」に戻ります

目次に戻ります

ドラゴンクエスト 小説 パステル・ミディリンのTopに戻ります