【第19話】

宝物庫


塔は、らせん状に階段が作られており、

ぐるぐる回っていきながら俺たちは階段を上っていった。

もちろん、足音は立てなかった。


塔は5階くらいの高さになっており、各階に扉があったが、

そこには見張りもいない状態で、無用心極まりない。

目的の宝物庫は最上階にあることも知っていたのでそこを目指した。



4階まであがった俺とリュックは、小声で話した。


「本当にお宝がここにあるのか、っていうくらい無用心だったな」


「そうだね。ここまでまったく兵隊さんに会わなかったものね」


5階に上がり、扉をかすかにあけて見ると、

さすがにそこには兵隊らしきものが二人いた。


「どうする?」


小声でリュックがささやく。


「眠り草かな。

 今から、粉を部屋にほおりこむ」


「じゃぁ、マスクを」


リュックは布を口にまいて、俺にも布を差し出した。

俺もリュックのように、口と鼻に眠り草を

吸い込まないように布をまいた。


そのあと、眠り草の粉を部屋の中にそおっとほおりこむ。

袋には、長い紐がつけてある。

紐をひっぱると袋が開封されて、

眠り草の袋が開封される仕組みだ。


しばらくすると、ドアの奥で大きな物音がした。

ドアの中をのぞいてみると、二人の兵士が倒れていた。

眠り草がきいたのだ。


「さすが、300Gの効き目はあるね」


「あぁ。効果抜群だな」


俺達はマスクをしたまま、部屋に入った。

熟睡している兵士達を乗り越え、

宝物庫の扉であると思われる、扉の前に立った。


「さて、ここからが大変かな」


さっき、窓をこじあげた、盗賊の七つ道具をまた出し、

今度は鍵の解除にあたる。

こういうのは俺の仕事だ。


今までに何度も鍵開けやってきた。

そういう仕事をせざるを得なかったといえば

それまでだが、飯を食うためには仕方なかった。


「罠もないようだな・・・・」


たまに罠があるものもある。

鍵穴を除くと、毒矢が発射し、失明をしたり、

最悪の場合、扉ごと爆破するような陰険な罠もある。

しかし、この扉にはそのようなものはなかった。

さすがに王宮の宝物庫に爆弾がついているとは思わないが。


普段は有り合わせの道具を駆使して鍵開けを行ったが

盗賊の七つ道具には必要な道具がすべて入っている。

鍵開けは思ったより、早く終わった。


扉をあけると、中には小さな部屋があった。

真ん中に、大理石の段がありその上に、紫色の布に覆われた何かがあった。


第20話 金の冠

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