リディアと母と暗黒騎士のお話
第2話 竜騎士編
「さて、説明って言っても言葉だけじゃ分かりにくいと思うから……。」
食卓に移動して私の向かいに座ったお母さんが、素早く詠唱を始める。
すると、食卓の上に霧が立ち込めていく…。
そして、暫くすると何人もの小さい人間が食卓の上に立っていた。
「うわー、スゴイ!お母さん、コレも魔法なの?」
「これはね、ドラゴンの力を借りて作った幻よ。
魔法と言うよりは召喚の応用ね。
リディア、この中で気になる人がいたら言ってごらん。」
そういわれても、食卓の上には10人以上の幻が写っていて、
どれから聞こうか、凄く悩んじゃう…。
暫く眺めていると、青色の綺麗な鎧を着ていて槍を持った騎士が目に付いた。
「お母さん、この青い綺麗な鎧を着ているのはどういう騎士なの?」
「あら、竜騎士に目をつけるなんて、リディアはいい目をしてるわよ」
お母さんが楽しそうに笑いながら言う。
「りゅーきし
って言うんだ~。それで、どんな騎士なの?」
「竜騎士って言うのはね、竜を相棒として戦う騎士の事よ。
もっとも、現在では竜と一緒に行動しないで単独で戦う事も多いみたいね。」
「りゅうとお友達なの?りゅうってドラゴンのことだよね?」
「そうね、本当はちょっと違うんだけど……その話は難しいからまた今度ね。
ちなみに槍を持つことが多いのはその戦い方が関係してるのよ。
竜騎士の得意技は、高いところから飛び降りて攻撃する事なんだけど、
槍を使うと、凄く高くまで飛ぶことが出来るのよ」
そういうと、お母さんは短い詠唱をして、食卓の上の竜騎士を走らせる。
竜騎士はある程度速度が出たら、槍を地面に突き刺して、
それを利用にして高く飛び上がった。
「うわ~。スゴイスゴイ!こんなに高く飛び上がれるなんて。」
「空中にいる間は敵の攻撃を受けないし、威力も高いのよ。
色々な騎士の中でもかなり強いわよ~。」
「それじゃあ、りゅうきしの人と一緒なら、旅に出ても安心だね!」
そう言って、成長した私と竜騎士が一緒に戦う姿を想像していると、
「そうねぇ、竜騎士はいいんだけど……あんまり相性はよくないかもね」
なんて言われてしまった。
「どうして?りゅうきしって強いんじゃないの?」
「凄く強いわよ。でも、竜騎士とリディアの二人だと、
竜騎士の人はリディアをかばう為に地上にいて攻撃を受けないといけないでしょ?
せっかくのジャンプが活かせないから相性はあんまりよくないんじゃないかなって。」
考えてみると、確かにジャンプの間中は他の人に攻撃が集中しちゃうかも…。
・第3話「モンク僧・忍者編」(近日公開)
・第1話「序章」に戻ります
・小説目次に戻ります
|