第3話 モンク僧・忍者編
「それじゃあ、この人はどんな人なの?」
次に指差したのは、上半身が裸の凄く筋肉がありそうな人だった。
「剣も槍も持ってないみたいなんだけど、この人も騎士なの?」
お母さんは少し考えてから、口を開いた。
「この人はね、モンク僧って言って、騎士とは違うのよ。
武器を利用しないで自分の力だけで戦うような人なの。
義や精神を重んじるところでは騎士よりも強いかも知れないわね。」
お母さんはそう言って、もう一度短く詠唱をした。
するとモンク僧は勢いよく飛び蹴りを放っていく。
「へ~。さっきのりゅうきしの人も強そうだったけど、
もんくそうって人も凄く強そうだね。」
お母さんも頷いて、
「そうよ、モンクの人は武器も持たないのに凄く強いし、
とても人格の良い人ばかりが集まってるの。」
「じゃあ、もんくそうの人なら一緒に旅しても大丈夫かな?」
「う~ん、そうね。モンクの人なら問題は無いかもしれないわね。」
少し悩んでいたようだけど、お母さんは優しく笑いながら頷いた。
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次に気になったのは、剣は持ってるけど
鎧ではなくて服をきていて、顔を何かで隠している人だった。
「お母さんお母さん、この人はどんな人なの?」
指をさして聞いてみると、
「この人はエブラーナって言う国の騎士で、忍者って言われているのよ。
持っているのも剣じゃ無くって、切れ味はいいけど軽く出来ている
カタナって呼ばれている刃物よ。
忍者は普通の騎士と違って素早い行動と
忍術って言われている特殊な術が有名ね。」
そう言って、また短く詠唱すると、忍者の人が巨大な火炎を呼び出した。
「うわ~。コレって魔法じゃないの?」
私はお母さんが『ファイラ』っていう魔法をみた事があるけど、
この忍者の人の魔法はそれよりも激しく燃えているように見えた。
「これは魔法じゃないみたいなのよ。
お母さんもあんまり詳しくは知らないんだけど、
燃えやすい物を使って、火を強力にしているんだって。
他にも水を使ったり、相手を動けなくしたりとかも出来るみたいよ。」
私は少し気になっていることを聞いてみることにした。
「この人は何で鎧を着てないの?」
「あのね、忍者は素早く動いて敵を翻弄するのが得意なの。
鎧は着ているとあまり早く動けないから着ないのよ。
攻撃も耐えるよりはかわす事の方が得意なのかしらね。」
お母さんも忍者って言う人のことは詳しくは無いみたいだった。
エブラーナって言えば、海に囲まれてる遠い国だったから
あんまり交流が無いってお母さんが言ってくれた。
それじゃあ、忍者って言う人と会う機会はあんまりないのかなぁ……。