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 リディアと母と暗黒騎士のお話

第4話 聖騎士・暗黒騎士編

それからどんどん聞いていって、残りは二人になった。
白い鎧を着て白い剣を握っている剣士と、
黒い鎧を着て黒い剣を握っている剣士。
お母さんはまずは白い方の剣士のほうから説明してくれた。

「この人はパラディンって言って、聖なる力を使える騎士よ。
色々な伝説にあるような光の騎士って言うのはパラディンの事ね。」


お母さんが詠唱をすると、これまでのようにパラディンが動き出す。

「パラディンは少しなんだけど、白魔法も使えるし、
仲間をかばって自分が攻撃を受ける事がおおいのよ。
だから、私たち、召喚士や魔道士みたいな人にとっては
一番いい相棒って言われているの。」


そういうと、お母さんは魔道士の格好をした人を作って、
黒い騎士に攻撃させようとする。
パラディンはギリギリのところで魔道士の前に入って黒い騎士の攻撃を受け止めた。

「もし、パラディンがいてくれたら、今からだってリディアと外に行ってもいいんだけどね。」

お母さんはちょっとイタズラっぽく笑いながら言った。
私は、ちょっとその顔が気になりながらも

「本当?そのぱらでぃんって言う人がいれば、外に出ても言いの?」

って聞いてみた。
お母さんは相変わらずの表情で頷きながら

「いいわよ。でもね、パラディンって言うのは凄くなるのが難しいの。
苦しい修行を積んだ騎士が数々の試練を終えて、天に認められないと成れないの。
だから、今はパラディンなんて一人もいないかもしれないわよ。」


「え~、そんないないかもしれない人なんてズルイよ!」

私が文句を言うをお母さんは微笑んでいた。

☆☆☆   


「それじゃあ、この黒い騎士はどんな騎士なの?
こっちの人もいないかもしれない人?」


私は最後に残った人を指差して聞いてみた。
お母さんは、さっきまで笑っていた顔を一瞬で引き締めた。

「いい、リディア。この黒い騎士……暗黒騎士とは関わっちゃダメよ。
暗黒騎士って言うのは、憎しみや悲しみ、怒りみたいな感情を増幅させて、
剣に伝えて戦う、騎士の中の一番危ない種類なの。」


そう言うと、お母さんは暗黒騎士を動かした。
暗黒騎士は物凄く怖い表情をしながら剣を一度縦に構えた。
そして、怒りの表情のまま剣を振りかぶる…と食卓の上を黒い風が吹きぬけた。

「すごい……」

私は怖がりながらも、今までの人たちとは違うその力強さに魅せられた。
でも、お母さんは厳しい表情のまま続けた。

「たしかに、実力はすごくあるの…。
近くにあるバロン王国では、暗黒剣を納めた人は優遇されているし。
でもね、怒りや憎しみで戦っていると、心まで暗くなってしまうの。
どんなに強くても暗闇の剣、その剣はいずれ自分を滅ぼすか、
自分を見失って暴走するする事になるわ。
暗黒騎士は騎士の誇りを忘れてしまった騎士なのよ。
暗黒剣は心を悪にするのと引き換えに強さを得た剣だから。」


お母さんは他の騎士を紹介するときと違って少し難しい言葉を使っていて、
まるで私以外の誰かに言い聞かせているようで………。

私にはよく分からないけど、なんだか怖いって言うイメージだけが残った。


「さて、今日はこのくらいにしておきましょうか。」

そういってお母さんは夕飯を作る為に台所に向かった。
食卓に残った私は、お母さんの得意なシチューの香りを楽しみながら
将来自分がどんな人の隣で戦うかを想像していた…。



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