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+--第10話 破壊神タイタン--+
目の前の戦士は私を助けようとしたのかもしれない。 しかし私には、目の前の二人は母を殺した人にすぎなかった。 近づく二人に私は叫んだ。
「いや!近寄らないで!」
みんなイヤ!大嫌い!」
私の中で何かが壊れた。 体中があつくなる。
「近づかないで!!!!」
頭の中が爆発する感覚を感じた。
喉がわれるくらい叫ぶと、 すべてを否定したい・・・・ 今までに感じたことがない感情。 憎しみ。 悲しみ。 いろんな感情が私を襲った。 イヤだ、こんな感情。 ここにいたくない! 逃げたい!逃げたい!逃げたい! すべてを忘れたい!!!
「みんなダイキライ!!!!!」
この場から逃げたいと思った感情は限界を超えた。 そのとき、突然大地が揺れた。
「な、なんだ!」
黒い鎧を着た戦士が驚きの声をあげた。 同時に、地震が起きた。 二人の戦士は、立つことができず転倒する。
そのとき、低く尊大な声が響き渡った。
”ムスメ、オマエノネガイカナエテヤロウ”
地割れとともに、突然一人の巨人が現れた。
”ワレハタイタン。オマエノココロにネムッテイル、イカリノココロ”
しかし私にはその声が聞こえなかった。
”スベテヲ、ムニカイシ、スベテヲワスレサセテヤロウ”
そう、私は逃げたい。 すべて、忘れたい。 もう何も考えたくない。
忘れさせて!
私の感情の爆発とともに、巨人は消え、爆発した。 同時に、さらに巨大な地震が起き、地割れが起きた。
「ウワァ!!!!」
目の前の戦士達がその地割れに乗りこまれていった。
すべてを忘れたい。 私は、目の前で起きていることも見えなかった。
心にあるのは、忘れたいという感情だけ。
その地震はおさまることがなくさらに地割れを広げた。 地割れは私をも飲み込んだ。
「キャア!!!!!!」
叫びながら私は思った。 私もこれで死ぬのかな・・・・ これでお母さんのところにいけるのかな・・・・
そんなことを思い浮かべながら、私は気を失った。
気がついたらベットの中だった。 ここは・・・・・・
目をうっすらあけると、ぼんやりと 優しそうな男の人の顔が見える。
「気がついたね・・・・」
「・・・・・・・・・・」
ハッ・・・ 声をきいて思いだす。 お母さんを殺した戦士の一人だ。 たしか黒い甲冑をきた戦士の人だ。
私の顔が厳しくなる。
その戦士は優しく声をかけてくる。
「まだ名前をきいてなかったね」
「・・・・・・・・・・・・」
「君のお母さんはぼくが殺したも同然・・・
許してくれるわけはない・・・
どんなことをしても許されるわけがない・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
・第11話 「償い」
・第9話 「憎む心」に戻ります
・小説目次に戻ります
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