「謝ってもすまされることでは
ないこともわかっている・・・・
君が僕を憎む心もわかる。
いや・・・わかるなんて、軽々しく言えない。
何をやっても償いができないと思う。
ただ・・・・・
君を守らせてくれないか・・・・」
戦士は、弱々しい声で、私に言った。
「・・・・・・」
どう答えていいのかわからなかった。
目の前の男性がお母さんを殺したのはたしか。
まだ憎む気持ちはある。許せない気持ちがある。
知らなかったから許される、
そういうものではない。
一番大切な人、お母さんを奪ったんだ。
そのことを思うと、涙がこぼれた。
逃げたかった。
泣きたかった。
ただ・・・
目の前の男の人の誠意は伝わる。
この人も上の人の命令で
お母さんとは知らずにドラゴンと戦ったのだろう。
この男の人はドラゴンに襲われたと言っていた。
私は、涙を流しながら、その戦士の目を見つめた。
その戦士も、私のことを見つめた。
目をそらさなかった。
「君を・・・・守らせて欲しい」
戦士は、そう一言私の目を見つめてはっきりと言った。
・・・・・まだ心の整理がつかなかった。
だから私はその人の視線から目をそらすため
毛布を顔まであげてさえぎった。
しくしくと、毛布の中で泣く。
「・・・・・・・・・・・・」
しばらく、ずっとそのまま毛布の中にくるまって泣いていた。
しかしやがて疲れ果てて泣く力もなく、眠くなってきた。
そうすると、足音が聞こえた。
男性が私の前から離れて隣のベットに入ったみたいだった。
私は・・・・これからどうすればいいのだろう。
母もいない、帰るところもない。
私には・・・・・何もない。
・第12話 「母の最後の言葉」
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