【第273話】
雷神の剣
ギガデインの魔法で大量の魔物たちの命をうばってしまった。仕方ないとはいえ、やはり心に痛いものを感じる。
しかし戦いにその感情を持ち込むことは、自分の命を落とすということもわかっているつもりだ。
私はカンダタ達に守られながら、襲ってくる魔物たちを倒し少しずつ敵の中心部に向かっていった。
50匹くらいの大群の魔物が私たちの前にあらわれた。私の周りには、カンダタと兵士5人、癒しの使い手の僧侶と魔法使いだけ。とうてい数では及ばない。しかし私もギガデインとベホマズンの疲労が激しくて迎え撃とうか迷った。
そうすると、カンダタは
「ここは俺に任せてくれ・・・」
と一人前にいく。
「カンダタあなた何考えているの!? まさか一人で・・・・ 無茶よ!」
「俺だって一人で50体の敵を
すべて切り伏せようとは思うほどバカじゃないぜ。
まぁ、見てろって」
そう言うと、カンダタは隼の剣を腰の鞘にしまい、背負っている少し普通の剣より大降りの剣を背中から抜き放った。
あの剣は・・・・・私との決闘のときにカンダタが使おうとしたのをやめた剣だ。
「今お前さんが作ってもらっている
王者の剣には及ばないかもしれないが
この剣だってダテじゃないぜ」
そういうと、カンダタは大きく剣を振りかざし
「雷神の剣よ!
最後の戦いのために・・・・生き残るために
力を貸してくれ!」
と叫んだ。
そうすると雷神の剣からものすごい大きな稲妻がほどばしり目の前の敵におそいかかった。
「ギャアオ!!!!!!」
たくさんの魔物が悲鳴をあげる声が聞こえる。
悲鳴のあとには、炭になった魔物屍骸が残っていた。
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