【第317話】
無人の船
海に投げ出されて気がついたときは私は砂浜に倒れていた。しかしそこにはぐりんの姿はなかった。上の大陸からずっと一緒に付いてきたはぐりん。大切な仲間を失った私は落胆した。
しかし、じっとしてもはじまらない。それにまだはぐりんが死んだと決まったわけではない。落ち込むことは後でできる。今はこれからどうするかだ。私は立ちあがった後、回りの景色を見渡した。
ここはどこだろう?辺りを見渡すと海とは逆側の陸地は目の前には大きな岩山があった。なので、その向こうに何があるかわからない。
この岩山を登るのはちょっと難しそうね。ルーラですぐにラダトームに戻ることはできるかもしれないけれど戻ったとしても、クラーゴンは未だ呪いに囚われたまま、何の解決もしていない。それにもしかしたらここがルビスの塔がある島の可能性もある。探索をしなればいけないだろう。私は海岸沿いに歩いてこの島を少し歩いてみることにした。
海岸沿いに歩いていくと、少し離れたところに二隻の軍船があった。これは・・・・・ラダトームの軍船だ。私達と一緒にラダトームを出た六隻のうちの二隻だろうか。それとも、もっと前に来た軍船なのかもしれない。船に近づいてみた。
しかし軍船には誰もいなかった。見張りも誰もいない?
この軍船はかなり前に到着したということなのだろうか。ただ、見た感じではこの船は比較的が手入れがされていて数ヶ月たったようには見えなかった。砂浜に船が乗り上げた跡もまだしっかりと残っていた。
船の中をのぞいてみると、食料も置いてあった。保存食がほとんどだったが、食料や水が腐っていることもなかった。さらに、複数の足跡が島の内部に続いていることから軍船の人間は上陸したことは確かなことだ。
ということは、見張りを立てないで全員がどこかに行ったという可能性もある。もしここがルビスの塔がある島であれば、魔物の巣窟にいるようなものだ。数人の見張りを立てただけでは船に見張りを立ててもそれほど意味がないだろう。であれば、全員で行動していたほうが安全だから、全員が出払っているということは考えられる。
とにかくこの島に人が上陸したということは確かなので私はこの島をもう少し調べることにした。はぐりんもこの島にいればいいのだけれど・・・・・
第318話 二つの死体
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