【第324話】
王者の剣の威力
二階に上がり、待ち構えたのはキメラの新種が四匹。キメラよりも一回りも体が大きい四匹の魔物は、マホカンタで呪文を跳ね返しベホマで傷を回復する優れた頭の持ち主だった。
ベホマで回復したあと、今度は炎のブレスを吐き出してきた。勇者の盾で身を守る。
一匹一匹の炎のブレスはサラマンダーに比べると比較することもなく弱いが四方向からブレスを吐き出してくるため、勇者の盾では防御しきれず確実に火傷をおっていく。回復魔法を唱える暇もなく、あちこちに水脹れができる。このままでは、ジリ貧だ・・・・
その時、背中が熱くなった。
油断して背中からキメラのブレスが直撃したかと思ったが不思議と痛みはなく、手をあててみると王者の剣の鞘から光がこぼれ出ていた。
伝説の神剣、王者の剣。どうやら王者の剣が背中の鞘の中で熱を発しているようだ。王者の剣が私に呼びかけてるの?その力は未知で、まだ一度も使ったことがない。
「・・・かけるしかない」
私は稲妻の剣を手放し、王者の剣を背中から引き抜いた。鞘から引き抜かれた剣は光輝き、キメラを驚かせる。
「王者の剣よ! 私を主と認めるならその未知なる力を私に貸して!」
私の声に反応し、王者の剣はさらなる光を発し、剣に秘められている魔力が爆発するような感覚に陥った。
私は王者の剣を振りかざすと剣の光はキメラに向かっていき巨大な竜巻を起こし、キメラをズタズタに引き裂いた。
キメラ達は必死にその竜巻から脱出を試みようとしたが巨大な竜巻の中から逃れることは許されず敵が事切れるまで、竜巻は敵を傷つけ、命を奪った。竜巻が収まったときは、キメラの無残な死体が4つ落ちていた。
「すごい威力・・・・」
感心と恐怖心が支配した。この剣の威力は確かにすごい。たった一振りしただけで、あっという間に魔物を全滅させてしまった。
同時にこの剣を大魔王ゾーマが四年もの歳月をかけて破壊したのもうなずけた。あまりに巨大な威力のため、この剣が人の手に渡るのを恐れたのだ。そしてこの剣を手に入れたものは、大魔王の視野にも入るほど巨大な力を手に入れるということ、その力を持つことが私は恐かった。
それに使い方を間違えれば自分の命も奪いかねない。
「この剣は・・・・本当に必要なときだけ使おう」
私は王者の剣を背中の鞘に収め、稲妻の剣を拾った。
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