【第325話】
バリア
王者の剣は、キメラの新種を次々と倒していった。巨大すぎる力。ゾーマが四年もの歳月をかけて破壊したのもうなずけた。
火傷をベホマで回復したあと、広間を見渡したが何もなかった。新種キメラのいた広間はこれ以上先に進めず行き止まりだったため引き返し、今度は途中で見つけた曲がり道を進むことにした。そうすると目の前に1つの扉がある。
「また、トラップかな」
しかしそれを恐れていては先に進めない。私は慎重に扉をあけていった。
扉をあけると、大広間のようだ。そして大広間の左右に複数の宝箱が見える。もしかして、光の鎧があるかもしれない。もっとも罠かもしれないけれど。
また大広間の一番向こう側に今開けた扉とうりふたつの扉が見える。
私が足下に落とし穴がないかを気をつけながら大広間に入ろうと思うと
「ウワァア!!!」
全身を電流が駆け巡った。苦痛なんてものじゃない。一瞬で意識が飛ぶほどの激しい電流だった。トラップだった。強力なバリアだ
私はすぐに元に来た通路まで這いずってバリアから逃れた。その場であまりの衝撃でうずくまっていた。私の鎧やマントからは、プスプスと煙が出ている。まるでライデインに貫かれたような衝撃だ。メルキド大戦でキングヒドラにライデインを唱えて自分自身もダメージを追った時のようだ。
今魔物に襲われたら戦えない。とにかく今は一歩も動けなかったし、立ち上がれない。呪文も唱えることさえできなかった。
しばらく感覚が戻るまで床にうずくまっていた。10分くらいしたら全身の感覚が戻ってきたのでまたベホマを使う。このダンジョンに入り魔法をかなり使っている。魔力を回復させる祈りの指輪は持っているが、無限ではないのだから、これからは節約しなければいけない。
魔法使いが同行していれば、トラマナというバリアをはじくことができる魔法があるらしいが残念ながら私には使えない。
このルートからは部屋には入れなそうだ。
試しにマッピングに使用している紙を扉にほうり込むと一瞬で紙が炎上した。この方法でバリアがあるかどうかを確認して他のルートを探してみるしかない。私は二階に戻ってきた階段のところまで戻ることにした。あっちにもう一本道があったはずだ。
第326話 八つの宝箱
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