【第33話】

陰謀


牢屋を脱走した私は急いで出口を探していた。

と、どこからか人のうめき声が聞こえてきた。

隠し扉を見つけ(見つけ方が少々かっこわるかったが)、

中を覗くとそこに老人が横たわっていた。


「だいじょうぶですか!」

「・・・・・ごほっ、ごほっ・・・・・」

背中をさすってあげる。そして、老人の胸に手を当て、

「ホイミ!」

と、癒しの魔法をかける。

「・・・・・・お、おぉ・・・・胸の痛みが軽くなったような気がするぞ!」

「すいません。まだ高度な魔法は習得していないので、

 これしか使えませんが」 (ほんとにまだベホイミ覚えていないんです)

「何を言う!礼を言うぞ。

 ・・・・・・・・・はて、そなたの顔、

 どこかで見たような気がするのだが・・・・・」

「オルテガですね」

「おぉ!そうじゃ、そうじゃ。オルテガ殿じゃ!」

「私は、オルテガの娘、チェルトといいます。

 依然、お父さんと会ったことがあるのですか?」

「なんと!オルテガ殿に、娘がおったのか!

 そうか・・・・・・オルテガ殿には会ったことがあるぞ、この城でな。

 わしは、このサマンオサの王13代目のラークじゃ」

「お、おうさま!?」

すぐに居住まいを正し、片膝をつく。

「これこれ、そうかしこまらんでよい。

 むしろ、礼を言うのは、わしの方じゃ。」

「いえ・・・・」

「もう、気づいているかもしれんが、今この国を治めている、

 偽物の王は、バラモスの配下の魔物じゃ。


 ・・・・・・・もう、何年も昔のことになる。バラモス軍が総力を挙げて、

 この国に戦争を仕掛けたことがあるのじゃ。」

「聞いたことがあります」

「うむ、それでじゃ、わしらは、この国の勇者サイモン殿と

 ともに戦い、この国を死守した。だが、それは奴らの陰謀だった。

 この戦いで何千もの兵士が命を落とした。

 しかし、バラモスは、邪悪な魔法を使い、死者をも蘇らせ、

 それを兵隊とする。とてもだが、勝ち目はない・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「そこで奴らが、提携を求めてきたのじゃ」

「提携?」

「いや、脅しといった方が良いな。つまりじゃ、わしに代わって、

 奴らが、この国を治めるという事じゃ」

「そんな・・・・・・」

「もちろん、反対した。じゃが、言うことを聞かなければ、

 この国の人間は、皆殺しされる・・・・・・・・

 仕方なかったんじゃ・・・・・こうするしか・・・・・」

「街の住民はこのことを?」

「もちろん、知らん!バラモスの手下になるくらいなら

 皆、死を選ぶじゃろう」

「私が、奴を倒してきます!」

「まぁ、待て。奴はしらをきるじゃろう。

 まして、兵隊も今はいっぱいいるしのぅ。

 そこでじゃ、この国の南の洞窟にラーの鏡という

 真実を映し出す鏡があるのじゃ。そいつをとってきて、

 奴の正体をあばいてやれ。それに、奴の所に行くには、

 夜の方がよい。兵隊も皆寝てるしな」

「わかりました。今から、その洞窟に行ってラーの鏡をとってきます」

「頼んだぞ!わしは、ここにおる。

 逃げ出したら、街の者が、殺されるでな」

「任せてください。奴らを絶対に倒してみせます!」


第34話 マホトラ音頭

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