【第333話】
ラゴンヌ戦2
六本の足を持つライオンの顔を持った獣。魔物に傷をおわせたが、魔物の強さも半端ではない。私も傷を負う。さらに魔物からの追撃がきて、辺りの気温が下がりだした。
すると大きな氷の刃が私の回りに取り巻き体に何本もの巨大な氷の刃が突き刺さった。
とっさに勇者の盾をかかげたことで、頭への攻撃は避けられたが、剣や盾を持った腕や体に氷の刃が次々と突き刺さっていた。そのうちのほとんどは雷神の鎧で、防ぐことができたが、先ほどの攻撃で、左の肩あてがはずれ、そこに一本の大きな氷の刃が突き刺さった。左肩からドクドクと血が流れ出る。氷の最強魔法マヒャドだ。こんな強力な魔法を使う魔物がいたとは。
傷の手当てをしたかったが、氷がつきささっているためベホマをしても、一度氷の刃を抜いてからでないと傷がふさがらない。
このまま戦って倒すしかない。
左腕はもう使い物にならず、盾をもつことができなかったので剣だけを構えた。
出血がかなりひどく体がぐらつく。視界がぼやける。どうにか目をこらして暗闇の中、松明のかすかな明かりで敵を見極めようとする。魔物は残された5本の足でゆっくりと立ち上がり、あちらも血をだらだらさせながら足を引きずるように私に近づいてきた。
さらにまた先ほどと同様に周囲の温度が下がり始めた。マヒャドで追撃をかけるのだろう。私はぎりぎりまでひきつけておいて、氷が現れた瞬間、その場を離れて最後の力を振り絞って全力で魔物に突進した。私がいたところに氷の刃が次々と現れたが、そこに私の姿はなかった。
ニ発目のマヒャドは松明の炎を消して辺りは暗闇になったが、すでに相手がいるところはつかんでいる。
私はそこにめがけて、剣を横におもいっきり振るった。
”グワァァァァァァ!!!!!!!!”
確かな手ごたえを感じ、魔物の絶叫が響き渡る。しかしトドメをさした確証はないので加えて突きを三発、そしてベギラマを唱え完全な灰にする。無情かもしれないが、魔物は強靭な生命力をもっていて確実に倒さないといつ寝首をかかれるかわからない。魔物は完全に気配を消した。
第334話 止血と不安
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