【第334話】
止血と不安
ライオンの顔を持った大型の魔物を倒した私。マヒャドを唱え、私は肩に大きな傷を負った。傷口には未だ氷の刃が刺さり、血が吹き出てくる。頭に怪我がなかったのだけが幸いだった。
私は暗闇の中、よろけるように歩き松明を再度つけるとそこに崩れ落ちた。
いけない・・・・このままだと出血が止まらない。
私は、体につきささった氷の刃を顔をゆがめて抜き取った。そこからさらに血が吹き出る。体は雷鎧の鎧のおかげで守れたが・・・
血がまじった氷の刃を投げ捨てベホマを唱えた。
魔法は効果をあらわし、傷口をふさいだ。しかし出血がひどかったため、血が足りなく力も出ない。痛みも残っている。左手で盾が握れるまで今すぐに戦うことはできないため、私はしばらくこの部屋で休むことにした。
隣の部屋には冒険者のたくさんの死体がありこの部屋には今倒した魔物の灰があるので正直この場にいたくなかったが、仕方ない。失われた水分を補給するため水を飲んだ。薬草も一緒に飲む。痛みを止める効果がある。
暗闇の中、傷を癒すために薬草を飲んで壁にもたれると、沈黙の洞窟での戦いを思いだした。確かあのときもこんな感じだった。沈黙の洞窟には最下層にサラマンダーが待ち構えていた。強敵だった。勇者の盾とはぐりんの力がなかったら勝てなかっただろう。今ははぐりんがいない。どこかで生きていると信じているけれど精神的に一人では孤独でつらい。
このルビスの塔と思われる塔も階が上がる度に魔物も強くなっている。魔法が使えるだけ沈黙の洞窟よりマシだが、魔物も魔法を使ってくる。しかも強力だ。敵の数は比べるまでもなくこちらが多い。
もしこんな強力な魔物がこの塔に何十匹も潜んでいたらどうやって戦えばいいのだろう。すべてを倒すのは無理だ。その前に力尽きてしまう。やり過ごせる敵は逃げてやり過ごすしかない。
奥の手の王者の剣があるが、この剣の力を再度借りることになるかもしれない。そしてこの先、生きている冒険者に会うことができるのか・・・・
第335話 盗賊の技術
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