【第336話】
激戦区
ツルツルで登ることができなかった坂道の仕掛けを発見した私は無事四階に登ることができた。仕掛けは結構凝っていた。
階段を登り終えると階段は再度音をたて形を変え坂道に戻った。
「ほんとに、凝ったしかけね・・・・」
これなら一度階段のスイッチを見つけても次の冒険者が仕掛けを発見できないように自動で戻る仕組みになっているのだろう。
階段を登るとき、この階段の仕掛けがとかれていないことからこの四階に行けた冒険者はいないのかと思ったが仕掛けが元に戻るのであればまだ冒険者が先に進んで生き残っている可能性もある。しかし、一度壁からはずした石壁が自動的に戻る仕掛けってどんなものなのだろう。
四階は二階同様明かりが灯されていたので松明の火を消した。二階ごとに明かりと暗闇の部屋が配置されているのかな。
塔に登る前、外からこの塔を眺めた感じでは六階から構成されているように見えた。通路は三方向、まっすぐと右と左だ。
三階までのマッピングをした後、私は左手の法則より左の道から進むことにした。
だが、左の道はすぐに引き返すことになった。そこには数人の冒険者が無残にも殺されていた。
鉄線のようなものがはりめぐらされ、その鉄線が冒険者の体を何十本も貫いていた。まるで蜘蛛の糸につかまった虫のように冒険者達は立ちながら息絶えていた。これもトラップだろう。その先は行き止まりだった。
次に引き返し右の道も進んだがこちら引き返すことになった。クラッシャーというトラップで壁の一部が突如動き押しつぶすものだ。こちらのトラップも既に発動したあとで押しつぶされた壁から血だらけの冒険者の死体の手だけが出ていた。即死だったのだろう・・・・
他にも一階同様、部屋に入ると暗闇になり暗視の力を持つ魔物に襲われるトラップや床から強力な酸が吹き出しどんなものも溶かしてしまうトラップ、バラモス城にもあった一見普通の石像に見えるものが冒険者の通過後魔物と化し襲ってくるトラップなど冒険者の屍は絶えず続き四階は激戦区だった。一番凶悪なのは模様の入った床を踏むと動きを変えられ塔の外にはじき出されるトラップでこの高さから放り出されたら命はまずない。
四階までたどり着いた冒険者はかなりの数いたようだがその歴戦の勇者達でさえもこの四階をくぐりぬけた冒険者はいないと思われた。それほどここの階の魔物達の数は多く、罠が巧みであった。
私がここまで無事にたどり着けたのも魔力を持つ剣と鎧を持っていたためであったがその雷神の鎧は酸や敵の攻撃によりかなり損傷をうけていた。私が五階の階段を見つけたときもこの階だけで三十匹以上の魔物を倒した頃だった。ここは冒険者の墓場となった。
第337話 最後のトラップ
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