【第337話】

最後のトラップ


四階は強力な魔物とトラップが数々潜んでおり、勇敢な冒険者の墓場となった。

私が五階の階段に滑り込んだときも三十匹以上の魔物を倒した頃だった。


最上階へと思われる六階まで、後一階。

これだけ魔物がいるということは、やはりルビスの塔に間違いない。

なんとしてもルビス様をお助けしなければ。




五階に登ると私の髪が強風により揺れた。

そう、五階は自然の風が流れていた。

というのも、五階は外壁がなく外の景色を見ることができたのだ。

辺りは真っ暗だった。

一日中夜なため、暗闇に包まれていた。


塔の通路には明かりは風では消えないように

火とは違う魔法の明かりと思われる光で照らされていた。

五階までたどり着いた冒険者がいないせいか

血などの跡もなく床や壁は汚れもなく、魔物もいなかった。

こんな吹き抜けのところに魔物がいる理由もないだろう。


私は塔に吹き荒れる強風で塔から落ちないよう注意深く座り

体を内壁に固定した後、四階でかなりの体力と魔力を消費したため

回復魔法をかけた。

そして魔物がいなかったので多少落ち着ける場所とわかり、まだ2つ残っている

祈りの指輪の1つを取り出し指輪をはめ祈った。

いつ回復できるかわからないから回復できるときにしておいたほうがいい。

指輪は壊れず、まだ私の手の中に残っており、私の魔力を回復させた。


五階を調べるのはたやすかったが気になったことが二つあった。

一つは五階は他の階に比べてものすごくスペースが狭いことだ。

つまり五階は外側の景色を見ながら、ぐるっと通路を一周できるものの

その中心にあるらしい部屋に入る扉がないのだ。


もう一つは上に登る階段がないことだ。


外の周りに六階に上がる階段がないとすれば、

今いる外側の通路から内側にあると思われる部屋に入って

そこから六階に登れるのではと思うのだが。


「・・・隠し扉か階段があるのかな・・・」


外は強風が吹き荒れているので、少しでも気を抜くと塔から落とされてしまうので

すり足で少しずつ通路を歩き、内壁を調べはじめた。


すると、かすかな振動が内壁から聞こえてきた。


「・・・・・・・・地震?」


私は内壁に耳を当てた。

確かに振動の音が聞こえる。


すると突然内壁が外に押し出されてきた!?


「え・・・・・・・」


私は声をあげることもなく、五階から放り出された。

突然のことでパニックで悲鳴もあげられなかった。


だが、このままでは地面に叩きつけられ頭から落ちて即死だ。

私は即座に判断して全魔力を解放しギアガの大穴から落ちたときのように

空中での自由落下を減速させるよう努力した。


魔力をためる時間が少なかったことから一階にはかなりの速さで地面に叩きつけられ

強い衝撃を受けて、その後強烈な激痛が私を襲った。


第338話 死神

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