【第343話】
命続く限り
五階で死闘を繰り広げる私。四百近くの魔物との戦い。ギガデイン、王者の剣、ライデイン私は思いつく限りの力と知恵を使い戦い続けた。
二匹の同じ魔物がメラゾーマが二発打ち込んできた。私は一つのメラゾーマを王者の剣で割り、もう一つのメラゾーマは勇者の盾をかまえて同時にベホマを唱えた。
王者の剣を叩き付けた一つのメラゾーマは先ほどど同様分裂し他の魔物を火だるまにしたが、もう一つの魔法や勇者の盾に直撃した。
勇者の盾が相当威力を受け流してくれたが打撃によるダメージは防げない。大ダメージをうけて意識を失いそうになる。
しかしメラゾーマを受ける瞬間、ベホマをかけていたのですぐに傷が癒え、もう一匹のメラゾーマを唱えた空飛ぶ魔物を咄嗟にベギラマで打ち落とすことができた。
この戦いは玉砕覚悟で戦うしかなかった。無傷で敵を倒すことは無理だった。だから、攻撃を受ける瞬間を予測しベホマをかけ、傷ついた瞬間、すぐに攻撃を仕掛けられるようにした。カンダタの腕のように切り落とされるほどの瀕死の状態でなければ魔法で回復できる。
盾で受けられる攻撃は盾で受け、受け損なったものは体をずらし、露出するところをずらして鎧に当てる。鎧は損傷し肌に軽症を負ったが、それで一回の攻撃をやり過ごすことができた。
またあるときは剣を盾として使った。剣は攻撃をするだけのものではない。攻撃を受け流すときにも使える。
敵の攻撃が来たとき、剣を敵の力に反発せず力に沿って流して体制を崩す。
剣や盾で直接攻撃を受け止めようとすると力負けすることがあるので、受け流すことによって相手の体制を崩してから、再度攻撃をする。時には蹴りや体当たりもして、荒らしい攻撃で体術も使った。
すべてが今まで戦った基本と応用の繰り返しでそれが私を守ってくれた。
そして、息をつく暇もないほど私は暴れまくった。体力の限界を超えても動き続けた。限界でも体を動かすことができるのは、今までの激戦での経験と魔法の種や木の実の効果もあったのだろう。
魔物達も自分達の命を顧みず、特攻をかけているのだがひ弱そうに見える人間一人を倒すことができないことに苛立っているようだった。
一瞬魔物たちに隙ができた。どう攻めようか考えたのか、それともひるんだろうか。それが私にとっての絶好のチャンスだった。
私は敵が怯んでいる間、魔力を体内に蓄え初めた。敵は怯んでいたが、また襲いかかってくる。私はその敵を迎撃せず、稲妻の剣を真上に降り、空中でイオラを爆発させた。
魔物達の視点が上空の爆風に一瞬移る。襲いかかってきた魔物も例外ではなかった。突然動くものに目を向ける、人間に限らず動物の本能にかけたものだった。
まばゆい光が輝きだし、魔物達の目を打った。私は稲妻の剣を目の前の魔物に投げつけ、一匹の敵を倒した後、さらに魔力を高めた。
再度魔物が襲いかかってきたが、魔力を貯める時間は与えられていた。
全身の魔力を解き放ち二回目のギガデインを唱える。天空から膨大な稲妻の竜が次々と魔物を飲み込み天井が抜けて抵抗がない最大級のギガデインは一気に残りの魔物の群れを殲滅させた。
第344話 六階への入り口
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