【第347話】
光の鎧
大地の精霊、ルビス様の復活した。しかし神や精霊も万能ではない。ルビス様は復活されても、アレフガルドは闇に包まれたままであった。何かしらの現状が変わると思っていたのは私達が神を頼りすぎていただけなのだろう。私は自分の意志で大魔王ゾーマを討つと改めて心に誓った。
「・・・・・・竜の女王は私の友人でした。
彼女のことは私が石化されても、命が消えたときその命の息吹を
感じ取ることができました。
あなたは竜の女王から選ばれたものなのですね。
光の心を持ち、王者の剣と勇者の盾を持っているあなたなら
大魔王ゾーマを倒せるかもしれません。
私ができることは限られていますが
あなたに神器を授けましょう」
そう言うと、まばゆい輝きを持つ光に包まれた鎧が天井からゆっくりと降りてきた。
「これが・・・・・・・」
そう、光の鎧だ。ラダトーム王がここにあるとのことをおっしゃっていたのを思い出した。神々が人間に試練を出して人間とホビットとエルフが種族を越えて作られた伝説の神器。1つはオリハルコンでできた王者の剣、1つはミスリルでできた勇者の盾、そして最後の1つがブルーメタルでできた光の鎧、
この塔のどこにいっても見つけることができなかったがその鎧をルビス様が持っていたのだ。
「私は光の鎧を大魔王に破壊させないために、
石化される直前に光の鎧を天界に飛ばしました。
今、私の解放と共にあなたにこの鎧を授けましょう」
クラーゴンとの戦い、五階のトラップ発動により一階に落下した衝撃五階との激戦で、ボロボロだった雷神の鎧はその役目が終わったかのように光の鎧が放つ光に当たると崩れ落ちその後、光の鎧が私に重なった。
「あたたかい・・・・・・」
不思議な気分だった。意識が薄れていく。
”鎧を身につける”
それは戦場に常に身を置く私には気持のいいものではなかった。血なまぐさい臭い、死を思い浮かべるからだ。
しかしこの防具は・・・・暖かい。何で・・・・心地よいのだろう。まるで小さい頃、お母さんに抱かれているそんな気分だ。
私はその暖かさに身をゆだねた。
「その鎧には、あなた方人間や他の種族の願いが詰められています」
そうか・・・・・この心地よさ、これがみんなが願う、気持ちなのかもしれない。
あぁ・・・・・心地がいい。戦いを忘れたい。
この心地よさ、それがみんなの願いなのだろうか。・・・・私はこの暖かさを闇に包まれたアレフガルドの人に知ってもらいたい。この暖かさ、この光、それをアレフガルドに。・・・・憎しみ・争いなどない、平和な世界を築き上げたい。
しばらくすると光が収まり私はブルーメタルで作られた青く光沢のある鎧を身にまとっていた。
そして同時に心地よく、ぼんやりとした感じから意識がはっきりしてきた。
夢から覚めた気分だ。私は自分の鎧を見た。先ほど感じたような暖かさは感じないが、暖かい光をアレフガルドに知ってもらいたいという気持ちは忘れない。
私はそのために戦っている。そのために剣をとってアリアハンを出発してお父さんが守ろうとした上の世界やアレフガルドを私が守りたい。
鎧の真ん中には、鳥のようなマークが刻まれており盾や剣と同様、赤い宝石が埋め込まれていた。
第348話 聖なる守り
前ページ:第346話 「大地の精霊の復活」に戻ります
目次に戻ります
ドラゴンクエスト 小説 パステル・ミディリンのTopに戻ります