【第351話】
毒の沼地
ラダトームではぐりんの存在を確かめられなかった私はルビス様がおっしゃっていたアレフガルドの南に位置する精霊の祠に向かうことにした。
ラダトーム城の図書館にある文献に祠のある位置が記述されていた。私はルーラを使いドムドーラに行くと地図を元に南を向かうことにする。
闇の中で魔物達は頻繁に襲ってきたがルビスの塔で王者の剣の使い方がわかり威力を程度制御できるようになっていた。また勇者の盾と光の鎧に守られた私に魔物達は私に傷をつけることができなかった。光の鎧は常に元気を与えてくれているようでいくら歩いても疲れなかった。
しばらく進むと、異臭がしてきた。
「何、この臭い」
先には毒の沼地が一面広がっていた。殺傷力はそれほど高くないが長く息を吸っていたり、体に触れると害も出てくる。中に蛭とかいることもあるから、あまり入りたくない。しかし、ここを渡らないと南には進めないようだ。
「困ったわ…」
とはいえ、考えていてもいい案が浮かばない。深さがどの程度かわからないが、荷物を頭の上に乗せて、泳いでわたるしかないだろう。沼から出たときは凄まじい臭いがしているだろうが。イカダでもあれば、沼につからなくても渡れるだろうが私は毒の沼地からあがった自分の姿を想像して顔をしかめた。
私は荷物を頭の上にのせ、沼地に踏みいれようとした。すると光の鎧が突然輝きだし、私の周りに光の薄い膜みたいのができた。まるでトヘロスの明かりのようだ。
「なんだろ?」
私がそのまま足を踏みいれようとすると、驚いたことに光の膜にあたって毒の沼が左右に分かれたのだ。
「すごい」
光の鎧にこんな力があったとは。思わず、「便利」とも言いそうになったが神器に「便利」とはちょっと罰当たりな言い方かなと思い言葉には出さなかった。
第352話 精霊の祠
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