【第353話】
光の階段
精霊の祠に着いた私は、ルピーさんという精霊に出会う。ルピーさんは私のことをアレフガルドに来る前から見守っていたそうだ。ネクロゴンドで、はぐりんにキメラの翼を渡したのも彼女だった。
「ルピーさんは私の命の恩人なのですね」
「いえ、出来事を予想されたのはルビス様です。
ルビス様は魔王バラモスをあなたが倒すことを予見されていました。
ルビス様は封印で石化されても、
成すべきことを私達に”意思”として飛ばしました」
私はルピーさんとルビス様に心の中で深く感謝した。
「それで私は何故ここへ?」
私はここに来た目的を知るためルピーさんに尋ねた。
「大魔王の城に渡る最後の物を得るためです」
大魔王の城に渡る最後の物。
太陽の石、そして、精霊から授かる命の杖を手に入れたとき、そこには虹の橋がかかり、魔の島にわたることができる。
私はラダトーム王の言葉を思いだした。
つまり精霊から授かる命の杖を頂けるわけだ。しかし、先ほどルピーさんは「大魔王の城に渡る最後の物を”得る”ためです」と言った。「大魔王の城に渡る最後の物を”渡す”ためです」ではなかった。
つまりルピーさんが授けてくれるわけではないのだろうか。
「聖なる守りを持っていますよね?」
「はい」
私は首から下げて服の下にしまったルビス様から頂いた聖なる守りをルピーさんに見せた。
すると聖なる守りがまばゆい光を出してその光が前方に飛び、目の前に光の階段を象った。ルピーさんはその階段を見てこのことを予知していたように頷いた。
「あなたはこれからこの階段を上り天界に行きます。
そしてあなたはそこで、自分が戦っている意味を見いだして下さい」
「自分が戦っている…意味?」
それは平和を取り戻すため、みんなの笑顔を取り戻したいため。不変であると思う。それ以上の意味を見いだせということなのだろうか。
「大丈夫です、危険はありません」
ルピーさんはそう笑顔で答えた。
「あなたは天界に言って、そして心で感じてきて下さい。
あなたの迷いない信念であれば、命の杖を得ることができるでしょう」
つまり試練か何かあるということなのだろうか。危険がないとはルピーさんは言っていたけれど。でも大魔王の城にいる手段を得られるのであれば危険であっても行くと思う。私はルピーさんに頷いて光の階段を上った。
第354話 デ・ジャブ
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