【第355話】 ルビスの素顔?
一度、過去に見たような光景。それは夢で見た光景。野原にはぐれメタルの群れ。そして顔を見ることができなかった女性。私は以前見ることができなかった女性の顔を見ようとした。
その女性は振り返った。初めて見た顔。でも私はすぐにこの方が誰かわかった。
「ルビス様…」
そう、この方はきっとルビス様だ。光の鎧と聖なる守りを授けてくださったとき光のシルエットで顔を見ることはできなかった。だからルビス様の顔は見たことがない。でもこの方はルビス様だとわかった。
「ルビス様…ですよね?」
「………」
「…ルビス様…私は何故ここへ…」
「…チェルト。久しぶりね」
ルビス様の言葉とは思えないような言葉にびっくりした。まるで友達のような話し方だ。
「………」
「確かにこの容姿はルビス様よ。 でも私はルビス様じゃないの。 これはルビス様の姿を借りているだけ」
「?」
私は目の前の女性が何を言っているのかよくわからなかった。ルビス様の容姿を借りているだけ?とにかくわかったことは目の前の女性はルビス様ではないということだ。でもこの人のことを私は知っているような気がする。それは夢で以前見たから?
「ボクって言った方がいいのかな。 声も姿もまったく違うだろうからわからないだろうけれど。 雰囲気でわかってくれるかなとは思ったんだけれどな」
「………」
「…わからない?」
「……… あっ…あぁ!!!!」
私が大声でつい叫ぶと、女性の足元に周りに集まっていたはぐれメタルがみんな逃げ出してしまった。一緒にいたはずのはぐりんも逃げ出してしまった。
でも私は逃げ出したはぐりんさえ、まったく頭になかった。あれははぐりんに見えたが、はぐりんではないのだ。
「あなたは…はぐりん!?」
第356話 はぐりんとの再会
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