【第357話】

はぐりんが語るスライムの歴史1


無事だったはぐりん。

生きていたはぐりん。

ずっと旅を一緒にしてきたはぐりんと再会した私は

はぐりんの目を見つめた。




「最後って…どういうことよ」


私は少し怒ったように言った。

いきなりそんなことを言われても。


「……それは後で話すよ。

 順を追って話さないといけないね。

 まずさっきも話したけれど、この姿は仮の姿で

 本物のボクの姿ではないんだ」


私は、はぐりんが言った

”これが最後”という言葉がすごく気になったが

まずははぐりんの言うことを聞こうと思った。


「だからボクはルビス様でもないし、女の人でもない。

 君と同じ目線で話したかったから仮にこの姿になっているだけで

 ボクが知っている人って言うと、君やカンダタ、ガライくらいしかいないし

 それならルビス様の姿を借りてみようかなと思っただけ」

 

「ふぅん、で女性でないってことは男性ってこと?」


「男…でもないんだ。

 うまく言えないのだけれど…


 チェルトは、はぐれメタルであるボクと出会った。

 ネクロゴンドだったと思うけれど。

 その姿と大きく関係がある」


はぐりんの言っていることが、私にはまったく理解できなかった。


「ボクははぐれメタルだったってこと、これは事実なんだけれど

 何故魔物のはぐれメタルであるボクが天界にいたのか、

 そして姿を変えることができたか、それはスライムの歴史を話さないといけないね」


「スライムの歴史?」


「うん。

 スライムというのは多種別がいるんだ。

 スライム、スライムベス、スライムつむり、マリンスライム、

 バブルスライム、はぐれメタル、ホイミスイラム、ベホマスライムなどなど…」


「いっぱい種類いるよね」


「でも、元はスライム一種類だったんだ。

 それが、いろいろな環境の変化などで、

 いろいろなスライムに枝分かれしていったんだ」


「へぇ…」


「小さな湖に偶然から生まれたスライム。

 最初は湖から生まれたスライムは水の中でしか

 生きていくことができなかったんだけれど

 増えつづけるスライムは、やがてその小さな湖に収まりきれなくなって

 新たに自分の生きる場所を探しにいったんだ」


~・~・~・~・~・~はぐりんが語るスライムの歴史~・~・~・~・~・~

(以下はぐりんが語るスライムの歴史話1~8は、エニックスから出版される「モンスター物語」の

 スライムの章を元に書いています。9~13は完全オリジナルです)

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最初にスライムが生まれたのは人間の暦で考えると1800年前になるんだ。

湖で生まれたスライム。それがボク達の始まりだった。


「オギャー」


「あらま、また赤ちゃん生まれちゃったよ」


「またかぁ?」


スライム達は単細胞生物だったため、ある程度の大きさになると

体が分裂していって体を増やしていったんだ。


「あぁ、それにしても、うちも20人家族よ。

 お隣さんも30人も子供いるし。

 食べ物もないわ」


「そうだなぁ、それにこの湖もダイブ狭くなったなぁ」


湖が狭くなったと感じているのは、スライムが水を飲むためで

数が増え続ける一方、湖の水は減っていった。

それでも増え続けるスライムは、そのうち湖に収まらないほど数を増やしていった。


第358話 はぐりんが語るスライムの歴史2

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