【第358話】

はぐりんが語るスライムの歴史2


スライムが生まれたのは人間の暦で1800年前のこと、

一つの湖で生まれたんだ。

スライムは、順調に数を増やしていったのだけれど

そこには大変な問題があったんだ。

「食料問題」

スライム達は湖に収まらないくらい増え続けてしまった。




「狭いよ~」


「苦しいよ~」


「ひもじいよ~」


このままではスライム達の湖はいつか干上がってしまう。

そこで湖の外に外を出て、スライム達は食料を探さざるを得なかった。

しかし、魚が陸で暮らすのと同じように

スライムも陸で暮らすことはできなかった。

環境に適応せず干からびで死んでいったものも多かった。


それでもスライム達は、湖内で増え続けたため

生きるために外の世界へ出ようとした。


そのうち地面の上でも生きられるように進化していったスライムが

水の束縛から抜け、大地を移動できるようになった。


スライムの集団は新たな湖を求めて、場所を移動したんだ。

しかし早々湖があるものじゃなかった。

だからスライムは途中で見つけた草原で

草を食べながら生き延びたんだ。


そしてスライムは東西南北に散っていった。




その中で一番最大の集団が南に向かったスライム達だった。

スライムは湖を見つけると、すぐに水を飲み干し

次の湖に移動、それを繰り返していったんだけれど

数がさらに増えつづけるスライムは草原の草をあっという間に食べ尽くしてしまった。


「もうここの草がないよ~」


「これだけの数がいるからすぐなくなっちゃう」


草がなくなったら草原と水を探しにスライムの群れは移動、

それを繰り返したのだけれど増えつづける方が多くて

草や水も追いつかなくなってしまった。


そのうち虫などを食べて飢えをしのぐようになってきた。

草食から雑食に変わってしまったんだね。


「お?おまえ、なんか体の色かわってない?」


「ほんとだ、なんかオレンジ色にかわってきちゃったよ!」


雑食により体に影響を及ぼし、色がオレンジ色に変わってしまった、

それが今のスライムベスなんだ。


一方、北に向かったスライム達は食料の草が多く食べることには困らなかった。


「こんなに草がある!!!」


「これでひもじい生活ともおさらばだ!!」


しかし彼らには過酷な運命を背負わされることになった。

食料の草は多かったんだけれど、草食動物を食べるところには

それを餌としてなわばりを持つ肉食動物も多かった。


スライムは、繁殖速度も速かったので数を増やしていたけれど

肉食動物には格好の餌だったんだろうね。

ボク達の祖先は、いつも肉食動物に狙われる立場になったんだ。

弱い素スライムは逃げることしかできなかった。


「なんだ、あの大きな生き物は!」


「娘が3人も食べられちゃったよ!!!」


スライム達はその豊富な草原地帯を肉食動物に追われ

逃げざるを得なかった。


しかし肉食動物達も、食料であるボクらを簡単には逃してくれない。

逃げ続けるスライムは、下が海しかない崖にまで追いつめられてしまった。


「おい、もう道がないぞ!!!」


「でも、もう敵もすぐそこまで来てる!!!」


「どうしよう!!!」


スライム達は死を覚悟して

その崖に飛び込むしか生き残る道がなかったんだ。


次々に海に飛び込むスライム達。

しかし体を進化させて陸で生きられるようになった

スライムは泳ぎを忘れてしまっていた。


「助けて!!!」


「溺れる!!!!」


残念なことにこのときに半分以上が死んでしまったんだ。


それでも生命力の強いスライムが生き残り、

今度は海で暮らすようになったんだ。


第359話 はぐりんが語るスライムの歴史3

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