【第363話】 はぐりんが語るスライムの歴史7
今までスライムが旅に出る理由は食糧難が理由だった。しかし始めて、好奇心によって旅にでたのはバブルスライムの子供達だったんだ。そんなバブルスライムは一人の少女と出会った。
「わぁ…きれいなお姉さん…」
種族こそ違えど、その少女が美しいことはスライム達にもわかった。脊は小さかったが、顔立ちが整っていてすんなりとした体だった。少女は淡い緑色の髪で、耳がとんがっていた。妖精の少女だった。
始めて見るきれいな妖精を見てバブルスライム達は少女に見とれてしまった。そんなバブルスライムを見て少女は声をかけた。
「あなた達は…そこは毒の沼地なのに入っていても大丈夫なの?」
「うん、だってボクらはこの沼地から生まれたんだもん。 へっちゃらだよ!」
一匹のバブルスライムが少女に見とれながら答えた。
「スライムにいろいろな種族がいるというのは聞いていたけれど まさか毒の沼地でも生活できるのがいるなんて…」
少女は驚いていたようだった。
「お姉さんはなんでここにいるの?」
一匹のバブルスライムが少女に声をかけた。バブルスライムが少女を初めて見たとき、困惑した表情をしていたからだ。
「実は…お使いの途中だったの。 ホビットさんから頂いた金の鏡をエルフの村に持ちかえる最中に この沼に鏡を落としてしまって…」
少女は泣きそうな顔をしていた。
「このお姉さん、困っているんだ」
「よし、ボクが探してきてあげるよ!」
「私も探す!」
心優しいバブルスライムの子供達は息を吸いこむと毒の沼地にもぐりこんだ。
「あぁ!」
少女はバブルスライムの行動に驚き、そしてしばらく心配そうな顔で沼を見つめていた。
しばらくして一番最初にもぐったバブルスライムが口に何かを加えて戻ってきた。
「これ?」
「ううん、違うの…ごめんなさい…」
「そうか、もう一回探してくるね!」
そういうとバブルスライム達はまた沼地にもぐった。何回も何回もバブルスライム達は沼にもぐってはいろいろなものを拾って戻ってきたが、少女が落とした鏡ではなかった。
もう丸一日探しても見つからず、さすがのバブルスライムも息を切らしていた。
「ごめんなさい…ありがとう… もういいの…」
少女は見つからない悲しさとバブルスライムの優しさに涙をした。
困惑する、バブルスライム達。
「よし、もう一回探してこよう!」
「うん!」
疲れていたバブルスライム達はもう一回沼地にもぐった。今度はみんななかなか帰ってこない。
そして、一匹がまた口になにかをかかえて持って返ってきた。
「そ、それ!!!!」
少女が探していた鏡だった。
「ありがとう…本当にありがとう!!!!」
第364話 はぐりんが語るスライムの歴史8
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