【第364話】 はぐりんが語るスライムの歴史8
妖精の少女が困っているところを見て心優しいバブルスライム達は沼地を一日がかりで探した。バブルスライムはついに探し物を見つけた。
「本当に…なんて言っていいか… ありがとう…ありがとう…」
「えへへ…誉められちゃった」
「見つかってよかったね」
バブルスライム達も笑顔だった。
「そうだわ、何かお礼をさせてください」
「え?いいよ!」
「そうだよ、困ったら助けるの当然だもん」
「ボク達何もいらないよ」
「でも…」
妖精の少女はまた困っている顔をした。心優しいバブルスライム達に恩返しをしたかった。
「何か望みとかないですか?」
「う~ん…」
バブルスライム達が今度は困った顔をした。
「そうだ、お姉さんの住む世界のこと教えてよ!」
「ボク達、外の世界が知りたくて、旅をしているんだ」
「私達の世界? そんなことでよいのですか?」
妖精の少女は少し考えて天上界のことを話した。バブルスライム達は始めて聞く異世界の話を熱心に聞いた。
「わぁ…天上界って、なんて素敵なところなんだろう…」
「ボクも天上界で暮らしてみたい」
バブルスライム達は天上界の話しを聞いてその話しに憧れた。
「お願いです。どうかボク達を天上界に連れていってもらえませんか?」
一匹のバブルスライムが妖精に頼んでみた。
「あなたがたを…」
そのことを聞いて妖精は困ってしまった。
そんな妖精の表情を見てバブルスライム達は慌てた。
「いえいえ、無理にとはいいません」
「どうせボク達毒の沼地以外では生きてけないし」
「そうだよね、私達所詮魔物だし…」
天上界の話を聞いて期待に満ちていた表情は妖精に無理なことを言って申し訳ないということと自分達は魔物であるという残念な表情に変わってしまった。
少女もバブルスライム達も無言になってしまった。
「私には…あなた達を天上界に連れていくことができません。 でも…もしルビス様にお願いすればもしかしたら天上界にいけるかもしれません」
「本当に?」
少女の話しを聞いたバブルスライム達は必死に天にむかって祈った。
「ルビス様、ルビス様、ボク達は天上界にいきたいです」
「どうしても一度天上界を見てみたいです」
「天上界で過ごしてみたいです」
バブルスライム達は目をつぶって必死に祈った。しばらくすると天空から光が指してきた。
そしてとても美しい女性の声が聞こえてくる。
「あなた達の祈り、聞き届けました。
あなた達のような心優しい者を私は喜んで天上界に向かえます。
さぁ、この光によって身を清めなさい」
天空からの光はバブルスライムを包み込んだ。するとバブルスライム達は天空の光に沿ってふわふわと空中を飛んだんだ。
「わぁ!!!!」
「すごいすごい!!!!」
天空の光によってどんどん登っていくバブルスライムはその色を緑からきれいな銀色に身をかえていった。そして妖精と一緒にバブルスライムは天空に消えていった。
ルビス様に迎えられた心優しいバブルスライムの子供達がはぐれメタルの始まりだったんだね。私ははぐりんの話に感動した。なんて、素敵な種族なんだろう。
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