【第376話】
戦いで得た力
神器である王者の剣、光の鎧、勇者の盾、太陽の石、それと”親友”である雨雲の杖を持ち私はアレフガルド最南東の祠に向かうことにする。
アレフガルドには、ラダトーム、ドムドーラ、メルキド、マイラ、リムルダールの5都市があるが、南東にあるリムルダールには行ったことがない。最南東に行くにはリムルダールから行くのが近いためまずは一度ラダトームに戻り、王に謁見をした後ルーラが使え、リムルダールに行ったことがある人がいるかを尋ねた。
しかし残念ながらそういう人物はいなかった。先日の大戦で、多くの魔術師は死に魔法が使える人が圧倒的に少なくなっていたのが原因だ。また魔物の強さも激しく、各街は自分の街を守るのが精一杯で他の町まで現在は行くことがなかなかできないこともある。
自力でリムルダールに行くしかなくメルキドまでルーラで瞬間移動をした後、東を目指すことにした。途中リムルダールで食料を補給し、休んだ後さらに南に進むつもりだ。
途中、大型モンスターのダースリカントや、炎を吐くキメラ、死体から再度大魔王の魔力によって蘇らせられたグール、そして今まで出会ったことがなかったドラゴンの骨で構成され強烈な吹雪を吐いてくるスカルゴンなど多くの魔物が立ちはだかった。魔物との共存を親友と約束した手前、戦うことへのためらいは当然あるがそれをもう表情に出すことはない。
彼らを解放するためには目的を果たすしかない。必要最低限の戦いのみを行い、逃げられる戦いは逃げ逃げられなかった場合は少しでも早くその目的を果たすため相手が逃げない以上退けるしかない。
神々の武器と防具の圧倒的な力は戦いを楽にした。大魔王も恐れた攻撃力を誇る王者の剣から繰り出す攻撃を耐えられるものは存在せずどのような敵でも切れないものはなかった。剣から発せられる魔法もルビスの塔での戦いでも経験済みであるが巨大過ぎるほとの力だった。また多少の炎と吹雪を完全遮断する勇者の盾に加え、ちょっとした傷は魔法を使わずとも自然治癒する光の鎧により回復される。
そして沈黙の洞窟、メルキド大戦、ルビスの塔と何千匹もの魔物との連続による激戦が私の力をさらに引き出した。
沈黙の洞窟では魔法に頼らずとも戦える方法メルキド大戦では、キングヒドラのような巨大な敵との戦い方そしてルビスの塔では集団で襲ってくる敵への対処法などを学び戦いでの経験を積むことにより、力・素早さなど筋力的な力から魔力・精神力などにおける魔法力、そして数多くの敵と対峙することで養った予測・勘など戦いに必要な力がさらに高まっているようだ。
アレフガルドに来る前の魔王バラモスを倒したときよりもさらに数段階力をつけていたようで私を阻む魔物はいなかった。
途中、眠気による睡眠をとるため比較的安全な木の側に火を炊き仮眠をとったりはしたが光の鎧のせいか歩きによる疲れは感じるが少なく一日中歩きつづけることもあった。
何日かそんな生活を続け、南に歩きつづけるとやがて湖に囲まれた街が見えた。
第377話 湖の街リムルダール
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