【第378話】
特一級品
リムルダールに寄ったついでに兜を見ておくことにした私。ずっと装備をしていた兜もそろそろ限界であり、武器・防具屋に立ち寄った。
あるある。兜がずらりと並んでいる。兜も特一級品ばかりである。まず目を引いたのはまばゆい光を発しているきれいに磨かれたミスリルの兜。
といっても、本物のミスリルでできているわけではなく色が似ている金属でできているものだが。
本物のミスリルは人間の手で加工するのは難しい。実際にラダトームの王が話していたことだが勇者の盾の原料はミスリルである。
王者の剣はオリハルコン、光の鎧はブルーメタルとどれも硬度であり、太陽の石と月のかけらを使って人間とホビット、エルフの共同で作られた物だ。
ミスリルと名がつく偽物とはいえ、値段と名前からしてそれなりの強度を持っているのだろう。
次に目をひいたのは、ドラゴンヘルム。メルキドでドラゴンの鱗を用いたドラゴンメイルなども生産されていたがその兜版だろう。きっと炎や吹雪に防御属性があるはずだ。
そしてやや大きいが、完全に覆う型のグレートヘルム。絶対な防御力を誇るその兜は雷神の鎧のような真っ黒である。
しかしそれらの値段を見て私はため息をついた。
ミスリルヘルムが18000G、ドラゴンヘルムが25000Gグレートヘルムが、なんと35000G。結果的にバスタードソードと交換はしたが力の盾よりも高い。
今の私の持ち金では、一番安いミスリルヘルムも買えない。
「はぁ…」
情けない。
その時である。店の店主が、店の奥からカウンターに出てきた。そして私を見るなり目を見開く。
「…?」
どうしたのだろう。気にはなったが、お金がないのに高い防具を紹介されても困るので私の方から目をそらした。
しかし店の主人は私に話しかけてきた。
「すいません…」
「はい?」
「随分立派な鎧をお持ちですね」
そう言って光の鎧を指さす。
「お客さん、1つお尋ねしたいのですが
あなたが着ているその美しい青い鎧。
それはいったいどこで手に入れました?」
「それは…」
私は口ごもってしまった。なんと言えばいいのだろう。
この鎧が立派だから売ってくれとか言われるのかもしれない。
光の鎧の詳細を話し、ルビス様から授かったと言っても信じてもらえるとも思えない。ルビス様が救われたことはラダトームの人なら王から知らせが届いていれば知っていると思うけれどまだ他の街に伝わるには時間がかかる。
リムルダールの人はアレフガルドはまだ闇に包まれ、ルビス様も未だ囚われていると信じているだろうから。
「それにあなたが持っている剣、盾。
皆同じ紋章が入っていますね」
「はぁ…」
私はどう言おうか迷ったが、正直に言うことにした。
「こんなことを言っても信じてもらえないかもしれないですが これは光の鎧と呼ばれるものです。 伝説の神器の1つでルビス様の封印を解き、ルビス様から授かりました」
「………」
店の主人は絶句している。
そして目をぱちぱちさせた後、急に私の手をひっぱって部屋の中に引き込んだ。
第379話 もう1つのブルーメタル
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