【第379話】

もう1つのブルーメタル


リムルダールの防具屋には、目を奪われるような兜が

ずらっと並んでいた。

しかし値段もとても私の手持ちでは買うことができない。

私はため息をつき、店を出ようとしたところ

防具屋のおじさんは私を見て、部屋に引き込んだ。




「な、なんなんです…」


私は驚きながら、店の主人に抵抗をした。

まさか、急に襲われるようなことはないだろうけれど

主人の突然の行動にとまどった。


「あなたのその鎧…もう一度よく見せてくれます?」


「え?

 いいですけれど…」


そう言うと、主人は私の鎧を近くでじろじろ見定めた。

なによぉ…


「確かに。これは凄い…

 実際に青い鎧が存在していたとは…」


「光の鎧やブルーメタルのことをご存じなのですか?」


「ブルーメタルとはその鎧の金属の名前ですか?」


「えぇ」


「いえ、その鎧のことやどういう金属でできているか詳細は知りませんでした。

 ただ私も長年防具屋をやっていますからね。

 その鎧で使われているものが、普通でないことはわかります」


店の主人は自信気に言った。

そして今度は鎧ではなく、盾を見る。


「もしや…あなたはチェルト様では?」


「何故、私の名を?」


「やっぱり…メルキドを救った勇者とはあなたのことだったのですね。

白い鳥をかたどった美しい盾を持ち、女性の戦士ということは聞いていました。

それだけでも十分特徴がありますからね。あなたの盾を見てわかりました」

どうやらあのときの戦いはリムルダールにも伝わっているようだった。


「あなたにお渡ししたいものがあります」


そう言って主人は、部屋の中に雑然と置かれている防具の箱を少しずつ移動しはじめた。

私はその行動を見守るしかない。


しばらく何個かの荷物をどかすとそこに地下に降りる階段が出現した。

まるで隠し階段だ。

防具屋ということは倉庫か何かだろうか。


そんな疑問をもっていると主人はその階段を下りていった。

私はその場で待つ。


しばらく下の方からモノを動かすような音が聞こえてきたが

数分経つと主人が階段を上がってきた。


手には大きい木箱を大事そうに持っている。

それをゆっくりと床に置いた。


「開けてみてください」


主人はそう言った。

私は言われるがまま、木箱を開けた。

そして目を見張った。


そこには光の鎧と同様、綺麗な青い光沢をした兜が入っていた。


第380話 違う時代の伝説の武具

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