【第384話】
虹のしずく
聖なる守り、太陽の石、雨雲の杖から発せられた光は天上を照らし、虹色の光を反射した。収束して照らされた虹色の光がおさまったところに1つの宝石が置かれていた。
いにしえの黒曜石
神に選ばれし勇気ある者
一度触れれば
太陽の輝きを取り戻す
精霊に守られし杖
命吹き込めば
雨雲の力が宿る
雨雲に集まりし、聖なる雨
偉大なる太陽の光
雨と太陽が合わさるとき…
虹の橋がかかる
アレフガルドに昔から伝えられる話。初めて聞いたときは、なんのことかわからなかったが今ならこの意味がわかる。このことだったんだ。
私はできた宝石を手に取る。
この歌のほとんどのことは行われた。後は最後の「虹の橋がかかる」の一文だけだ。
この虹の宝石が大魔王の城に渡る手がかりになるのだろう。魔王の城はラダトームの城と向かい側にあるがその城の様子は、暗い闇に包まれ、はっきり見渡すことができない。
また大魔王の城は、ラダトームから見ると断崖絶壁になっており仮に船を出せたとしても、上陸するところがない。
大魔王の城にもっとも近い陸続きの場所はリムルダールから北西にいったところにあるということを以前ラダトームに来たときに王から聞いたことがあった。
ただ、そこに渡る手段がなく兵を派遣して橋をかけようとしたこともあるのだが、風が強すぎて対岸に紐をかけることができないという話だった。
また魔物が強力で、死者も何人も出る上、街から離れているため食料などの補給も不便で何度も人を派遣することができないそうだ。
しかし虹の宝石を使い、歌の通り橋をかけるというのであればラダトーム王がいっていたその場所ではないだろうか。
私は太陽の石と雨雲の杖を回収し、聖なる守りを鎧の中にしまう。
「はぐりん、最後まで一緒にいこうね」
第385話 絶壁にかかったのは?
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