【第386話】

大魔王の島


リムルダール北西に着いた私は虹の宝石を道具袋から注意深く取り出した。

虹の宝石は輝き、大魔王の城の暗闇をも貫き、虹をかけた。

しかし…橋がない。




てっきり橋がかかるものと思っていた。

しかし、どんな素材で橋ができるのかと言われれば

木で作られた橋は、この絶壁の強風には耐えられそうにもないし

鉄では向こう岸に見える城に渡すのにどれだけ頑丈な橋を渡さなければいけないのだろう。

だから想像がつかなかったのだが。


しばらく虹ができた後、他に何が起こるか待ってみたが

何も起こらなかった。

このまま待っても仕方ないので私は恐る恐る、絶壁にかかる虹に片足をかけた。


すると、確かに足場が存在した。

虹の上に乗れたのだ。


と思った瞬間、辺りの景色が揺らぐ。

そして気が付いたら、見たことがない景色の前にいた。


「!?」


はっとし、後ろを降りかえると、後ろに絶壁があり

さらにはるか後ろのほうに今まで私がいたところであろう場所があった。


「瞬間…移動?」


まるでルーラのような一瞬の出来事だった。

そうか、これなら強風も気にしなくてすむし安全に島に渡ることができる。

魔法の架け橋が作られたわけだ。


ようやく…大魔王の島に着いた。

長かった。


後ろにある虹をもう一度目に焼きつけたあと、

私は顔をひきしめ、前を向く。


そこには、暗闇に包まれたおどろおどろしい城が遠くに見え

辺りは毒の沼地でつつまれていた。

沼地からはぶくぶくと泡がでており、辺りは鼻をつまみたいような臭いにがする。


とても生物が住めるとは思えないほどの環境だ。

しかしここを渡らないと先に進めない。


私は毒の沼地に一歩足を踏みいれる。

すると光の鎧が光を発し、周りに光の薄い膜を張る。

光の膜は沼地の毒を退け、私は歩みを進めた。


これからどんな魔物が出てくるかわからない。

油断しないように気をつけなければ。


第387話 沼地の主

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