【第416話】 キングヒドラ戦6
キングヒドラはやはり強い。勇者の盾で炎による攻撃は回避できるがこちらの攻撃が当たらない。メルキドのときは魔法による助力があったが、今度は一人で倒さなければならない。
剣の間合いに入れないので私は一度距離を開けた。
”何を”
キングヒドラが怯んだ。
炎の攻撃が一瞬やんだ瞬間、私は王者の剣の力を解放した。剣が煌き、巨大なかまいたちがキングヒドラを覆う。
”小賢しい真似を!”
直撃を受けるわけにはいかないのかキングヒドラは、身を固めた。メイジキメラなどを一撃で葬った竜巻はキングヒドラを切り刻む。しかしキングヒドラは悲鳴一つ上げない。
呪文の効果が消えると、多少なりともキングヒドラの血が流れていた。
”バギクロスが使えるとはな。驚いたぞ。だがそれでは我の命は奪えん”
私はその言葉を無視し、再度王者の剣による魔力を解放した。
”数を当てれば勝てると思ったか!”
そう叫ぶとキングヒドラは接近してきた。いくらキングヒドラにとってはかすり傷とはいえ、何度も黙って受けてくれるわけにはいかないだろう。
しかしそれこそが私の狙いだった。もとよりバキクロスでキングヒドラを倒せるとは思っていない。傷をつけることで、炎による遠距離攻撃から喰らいつきによる攻撃が来ることを望んだのだ。
普通ではありえない角度からキングヒドラは私に食らいつこうとした。複数の首が同時に襲ってくる。だが勘と予測で私は攻撃をかわした。
ルビスの塔の暗闇の攻防やアークマージとの戦いで気配で敵を察知する能力は飛躍的に上がっている。
精神を研ぎ澄ませ、目で見ず、空気の流れと音で敵の動きを感じた。
噛みつきによる攻撃を紙一重で交わし、攻撃のうちの一回に狙いをつけ王者の剣を叩き込む。
”ギャアアァァァァァァァァ!!!!!”
剣は一本の首をやすやすと切り裂き、首は根元近くまで真っ二つに割れた。キングヒドラの鮮血がほとばしりる。光の鎧は返り血を浴びて、真っ赤になった。
第417話 キングヒドラ戦7
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