【第417話】 キングヒドラ戦7
キングヒドラの攻撃。決してぬるくはない。メルキドで戦った時は人の助け無しでは相手にもならなかったが神具と過去の激戦の経験により互角以上に渡り合えている。
キングヒドラは血塗られた瞳で私を睨む。
”貴様…よくも…”
私は横目でちらりと切り落とした首の根元を見た。おびただしい血が流れてはいるが、キングヒドラの首の根元から少しずつだが肉が再生してきている。まだ再生には時間がかかりそうだが、脅威の再生能力だ。
「私はあの時のままじゃないわ。あんたも成長がないわね。今度は私一人で相手にしているのよ。しかもライデインも使ってないし。前より弱くなったんじゃない?」
決して言葉のようにこちらに余裕があるわけではない。傷は負わせて先手をとったが力はかなり均衡しており、その差はないに等しい。首は切り落としてもそのうち再生する。
ライデインも使っていないのではなく、地下深くの階層なので使えないのだ。
そこで私はゾーマの時と同様、言葉で挑発した。なまじキングヒドラは知性があるだけ、言葉が通じる。相手に冷静さを失わせればそれだけ隙も大きくなるからだ。
”貴様…人間ごときが馬鹿にするとは許さんぞ!!!!この場で八つ裂きにしてくれる!!!”
キングヒドラは私の挑発を聞くと怒り狂った。
よし、挑発にのった。キングヒドラは目茶目茶に炎を吐きまくる。そして私を食らおうとがむしゃらに攻撃をしかけてきた。
私は冷静になれと自分に言いきかせながら、攻撃をかわす。先ほどのように一本一本首をカウンターで切り落とすことは可能だ。しかしそれでは時間がかかるし、再生もされる。冷静さを取りもどされて、また遠距離による攻撃がされたらこちらには決め手がない。そこで一撃で勝負を決めるため私は挑発をした。
大魔王の城に入ったときに、ヒドラをしとめたときのように突きの体制をしたまま攻撃をかわす。
通常のキングヒドラの攻撃は早すぎて、ヒドラの時のように突きの態勢を作ったまま攻撃をかわすのは不可能である。しかし今は冷静さを失い、攻撃を見切ることができた。
キングヒドラの攻撃は速いが、怒りで単調になっている。予測と勘で防御はどうにかなる。
もう少し…、もう少し……今だ!自分が飛び込める間合いになると全体重をかけて突きを繰り出した。
”グワアアァアァ!!!!!!!”
王者の剣はキングヒドラに深々とめり込む。やがてキングヒドラの絶叫は消え、巨体が崩れ落ちた。
第418話 バラモスブロス戦
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