【第418話】
バラモスブロス戦
キングヒドラを仕留めることができた。挑発にのってくれたおかげである。結果として短期決戦になったが、普通に戦ったらこうはいかなかっただろう。
「さぁ、倒したわよ!
ゾーマ、早くでてきなさい!」
肉体的な疲れはあるが、魔法は一度も使っていないし思った以上に余力はある。
”威勢がいいことだ。だが次は簡単にいくかな”
ゾーマの声は先ほどと変わらず余裕があった。キングヒドラが殺されても、痛くも無いということか。
ゾーマが出てくることを一瞬期待したが「次」ということはまた配下との戦いのようだ。私は用心しながら、剣を構える。
場所が切り替わった。そこは見覚えのある場所だった。ここは…
忘れもしない。ネクロゴンドのバラモス城だ!そしてバラモスと死闘を繰り広げた場所だった。
「何故ここへ…」
そうつぶやくと、目の前に見覚えのある魔物がいた。その魔物は目を瞑っている。
「バラモス!」
あのバラモスだった。奴は倒したはずだ。ゾーマの魔力で生き返ったのか。しかしよく見るとバラモスと色が違う。
バラモスは黄色い硬肌に包まれていた魔物だったが目の前の魔物は水色の肌をしていた。
私の声を聞くと、バラモスは目をあける。
”貴様が兄者を殺した奴か”
「兄者? ということは、バラモスの弟!?」
”弟というのは適切でない。
バラモスは大魔王様より召喚されたもの。
我はバラモスを元にゾーマ様より作りだされた生物。
人間のように親や子という概念はない。
だが血を分けて作られたものを兄弟と呼ぶのなら
そうとも言うであろう。
我の名はバラモスブロス。
兄者を殺したことは恨まん。
負ける者が無力なだけだ。
だが我は兄者のようにはいかんぞ”
そう言うとバラモスブロスは両手に光の球を作り出した。
イオナズン!?しかも二発同時に!?どういう魔力を持っているの!人間には不可能な技だ。
私は反射的に稲妻の剣を抜き、イオナズンを作り出した。相殺を試みる。同時にバラモスブロスもイオナズンを放った。
しかし二発同時に相殺することはできなかった。一の攻撃に、二つのイオラを激突させイオナズンを作り出すことができても二つのイオナズンにあわせて四つのイオラを作り出しイオナズンを作ることは私にはできないのだ。
一発はイオナズンにぶつけることができ、大爆発が起きた。しかしもう一発を防ぐことができず、私はイオナズンの直撃を受けた。
勇者の盾で防いだものの、爆風と共に私の体は宙に舞う。そして床に激突した。
「うぁ…っ…」
言葉にならない苦痛の声をあげて、うずくまる。
第419話 バラモスブロス戦2
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