【第419話】
バラモスブロス戦2
バラモスと共にゾーマに作り出されたバラモスブロス。イオナズンを同時に二発放つ桁外れな技を使ってきた。
”まだこれで終わりではあるまい。
我はまだまったく本気を出していないのだぞ…”
冗談じゃない…なんて強さなの…私はベホマを使いながら立ち上がる。
今までイオナズンを使う相手はいたが同時にイオナズンを二発放つものはいなかった。バラモスだってそんなことはできなかった。
一発受けただけだから助かったがもし二発とも直撃を受けたら死んでいたかもしれない。
バラモスブロスは私が立ち上がるのを見ると笑みを浮かべた。
”よし、それでよい”
冷徹な笑みだ。背筋がぞくりとする。
バラモスブロスは今度は両手にメラゾーマの光球を二発生み出した。そして、両手の間にさらにメラゾーマの球が生まれる。
”今度は耐えられるかな”
そう言うとバラモスブロスはメラゾーマを放った。
私はなす術も無かった。マホカンタが使えれば、跳ね返すことができるが私には唱えることができない。
しかしこのまま三発のメラゾーマを受けるわけにはいかない。どうする。アストロンで回避するか。バラモスブロスは笑みを浮かべながら、メラゾーマを次々と放った。
私は一番最初のメラゾーマにおもいっきり王者の剣を叩き付ける。メラゾーマは真っ二つに割れた。続けざまニ撃目が迫ってきて私は勇者の盾で体を守りながらベホマを唱える。
盾を持つ腕にメラゾーマによる強烈な衝撃が伝わった。その衝撃は腕から全身にへと伝わり、体がばらばらになりそうなるがベホマを同時に唱えていたことから傷が回復する。
そこへ無防備なところを最後のメラゾーマが私を襲った。防御が間に合わず、メラゾーマは私を火だるまにした。
「きゃあああぁ!!!!」
私は床を転げ回った。炎は鎧の外から私を焼き尽くす。そしてしばらくすると魔法による火が消えた。
私は床に這ったまま立ち上がることができない体中が痛かった。涙が出た。大火傷を負っているのがわかる。鎧は無事のようだが、自分の肉が焼ける嫌な臭いがする。そしてメラゾーマの衝撃で骨もいっているようだ。私はかすれる声でベホマを唱えた。火傷は次々と癒え、どうにか命拾いをした。意識を失っていたらそのまま死んでいただろう。
私は剣を杖にして立ち上がる。
”どうにかこらえたような”
バラモスブロスを見るとまたニヤリと笑う。魔法による疲労は顔からはまったく感じられない。そして私が這っている間に極大魔法を使えば殺せたはずだったのに殺さなかった。ベホマを使わせた。こいつは遊んでいる。私が苦しむ姿を見て楽しんでいる。
第420話 バラモスブロス戦3
前ページ:第418話 「バラモスブロス戦」に戻ります
目次に戻ります
ドラゴンクエスト 小説 パステル・ミディリンのTopに戻ります