【第420話】
バラモスブロス戦3
バラモスブロス。
圧倒的な力を持ち、私を火だるまにした。
三つのメラゾーマを唱えることなど、通常では考えられない。
今のままではバラモスブロスには近づけない。
まずはあの魔法をどうにかしなければ…
マホカンタを使うことができない私にとって
敵の魔法を封じる方法はただ1つしかない。
しかし、私の魔法力で果たしてこの魔法がバラモスブロスに通用するのか…
他に方法が思いつかない以上、試してみるしかない。
私は魔法力を高めた。
”あきらめてはいないようだな”
バラモスブロスがにやりと笑う。
私はさらに魔力を高め、マホトーンを唱えた。
バラモスブロスの魔法を封じ込めようとする。
”マホトーンだと!?
そんなものが我に通じるはずなかろう”
バラモスブロスは余裕の表情だ。
私は無視し、さらに体内の魔力を高めた。
するとバラモスブロスの表情が突如かわった。
”この力は…
き、貴様!”
マホトーンがかかる率はある程度運もあるが、
唱える術者の魔力の強さにも大きく関わってくる。
バラモスブロスの魔法力は確かに凄まじい。
メラゾーマを同時に三つも唱えることなどは常人では考えられない。
普通の人間がマホトーンを唱えても、そんな魔王級の魔力を封じ込めることはできまい。
だが私の魔力だって並ではない。
今まで剣の修行だけでなく、魔法も死ぬ気で私は修行してきた。
血のにじむような努力をした。
結果ザオラルやギガデイン、ベホマズンなど高度な魔法も習得した。
その後も魔法の修行を怠ったことはない。
”勇者の力を…侮るな!!!!”
私は自分を勇者と言うことで自らを奮い立たせ、叫んだ。
ブルーメタルの兜にはめられているお父さんの青い宝石が光りだす。
不思議なことに私の魔力は増幅しているようだ。
しかしバラモスブロスのやられっぱなしではない。
”貴様ごときにこの魔王の魔力が封じれると思っているのか!”
そう言うとバラモスブロスも何か魔法を唱えたようだ。
メラゾーマを唱えたのかと、一瞬反射的に目を瞑りそうになるのを我慢する。
ここで集中力を解いたら、マホトーンは効かない。
しかしバラモスブロスからはメラゾーマもイオナズンも飛んでこなかった。
もしかして魔法を封じ込めることに成功した?
そう思った瞬間、私に強烈な魔力への圧力が襲ってきた。
頭を締め付けられるようだ。
「まさか、マホトーンを…」
バラモスブロスも顔をゆがめながら、私に魔法をかけ続けていた。
私の魔法を逆に封じ込めようとするとは。
マホトーンは決して難しい魔法ではない。
仮にも魔王と名乗るのであれば、マホトーンくらいは唱えられるだろう。
だが、マホトーンを使ってきたということは奴にもマホトーンが効くということだ。
「ま、負けるものか!!!!」
第421話 バラモスブロス戦4
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